鶏凍結精液作製時(MA法)における一次希釈後静置時間の延長


[要約]
メチルアセトアミド急速ストロー法(MA法)において、トレハロースを除去した改変一次希釈液を用いると鶏凍結精液作製時に一次希釈後2時間まで静置時間を延長しても受精率及びふ化率を低下させない。

[キーワード]鶏、凍結精液、メチルアセトアミド、静置時間、受精率

[担当]三重畜研・中小家畜研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-2207
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
鶏凍結精液技術として、簡易で汎用性の高いメチルアセトアミド急速ストロー法(MA法)がある。MA法では、鶏の精液を採取後、一次希釈を行い凍結作業まで30分静置する慣行がある。希少な遺伝資源鶏等の凍結精液を作製する際、作業場所が確保できない場合、凍結までの静置時間の延長化が可能となればより汎用性が高まる。ところが、MA法を確立するにあたりこれまでに静置時間の影響、特に30分を超える場合の検討はされていない。また、一次希釈液の組成についても検討されていない。そこで、MA法において、凍結までの静置時間の延長と一次希釈の組成の改変が受精率及びふ化率に及ぼす影響を検討する。

[成果の内容・特徴]
本成果は、雄に「八木戸」(三重県原産シャモ)、雌に白色レグホンを供試し、メチルアセトアミドの最終濃度9%で実施した成績である。なお、受精率は、孵卵10日目に透光検査により、ふ化率は、受精卵に対するふ化数により算出したものである。
1. 従来の一次希釈液(HS-2液 表1)を使用した場合、受精率は、30分(慣行)慣行区74.0%、2時間区43.2%、24時間区15.7%と静置時間が長くなるほど低下し、ふ化率(対受精卵)は、静置時間を延長した場合、30分(慣行)慣行区と比較して2時間区、24時間区が低くなる傾向(P値=0.09,0.12)がみられる(表2)。
2. 主にトレハロースを除いて組成を改変した一次希釈液(改変HS-2液 表1)で検討したところ、受精率は、慣行区67.2%、2時間区59.5%、24時間区22.0%となり、2時間区では受精率及びふ化率は低下しないが、24時間区で有意に受精率が低下する(表2)。また、受精率の持続期間は、慣行区と2時間区は同様な推移を示すが、24時間区は最初から受精率が低く、持続期間も短くなる(図1
3. 以上のことから、MA法における一次希釈液の組成を改変すると、一次希釈後の静置時間を2時間延長しても受精率及びふ化率を低下させないことから、精液採取後、凍結までの時間を2時間確保できる。

[成果の活用面・留意点]
1. MA法では、品種や系統により、メチルアセトアミドの適正濃度が異なるため、本成果を応用する場合は、事前に6〜9%の範囲内で適正濃度を検討しなければならない。

[具体的データ]

表1 希釈液の組成(g/DW100ml)

表2 一次希釈後静置時間が時勢率およびふ化率に及ぼす影響

図1 一次希釈後静置時間が時勢率およびふ化率に及ぼす影響

[その他]
研究課題名:東海地域を中心とする希少な遺伝資源鶏の保存及び活
用技術の開発
予算区分:実用技術
研究期間:2008〜2010年度
研究担当者:佐々木 健二、巽 俊彰、西 康裕、筒井 真理子(家改セ岡崎)、田嶋 慈恵(家改セ岡崎)、新實 竜也(家改セ岡崎)、今井 隆雪(家改セ岡崎)

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