玄米を給与した信州黄金シャモの肉質特性


[要約]
信州黄金シャモにトウモロコシの代替として玄米を給与すると、肉色、脂肪色は黄色みが低下する。皮下脂肪の脂肪酸組成は、オレイン酸割合が上昇、リノール酸割合が低下し、皮つき肉では食味評価に影響を与える一因となる。

[キーワード]信州黄金シャモ、玄米、脂肪酸組成、官能評価

[担当]長野畜試・養豚養鶏部
[代表連絡先]電話:0263-52-1188
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術および行政・参考

[背景・ねらい]
生産コストに占める飼料費の割合が高い養鶏において、近年の構造的な飼料価格高騰は経営を非常に圧迫しており、国産飼料原料をキーワードに水田農業政策を組み込んだ飼料用米の生産、利用が全国的に展開され始めている。玄米、モミの飼料利用にあたり、養鶏用飼料原料として生産性を中心とした栄養評価はされているが、食味を軸とする生産物評価の成績は少ない。そこで、玄米の給与が信州黄金シャモの肉質、特に食味に及ぼす影響について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. この成果は、4週齢から18週齢まで、対照飼料(トウモロコシ配合割合70%、CP18.3%、ME3,001kcal/kg)のトウモロコシの半量を玄米全粒に代替した(トウモロコシ35%、玄米35%、CP18.2%、ME3,008kcal/kg)成績である。
2. 終了時体重及びと体重に対するもも肉、むね肉の割合に差はなく、産肉性に影響しない(表1)。
3. 分光色差計による肉色は、黄色度(b*値)が低下して、色調はうすくなる傾向にある。脂肪色は、明度(L*値)が上昇、b*値が低下して、白色に近づく(表1)。
4. もも肉中の遊離アミノ酸、イノシン酸含有量は、甘味系アミノ酸であるスレオニン、セリン、グリシンが多い(表2)。
5. 皮下脂肪の脂肪酸組成は、オレイン酸割合が上昇、リノール酸割合が低下する(図1)。
6. 官能評価は、皮、脂肪を除去したもも肉の分析型パネル評価では差はないが、嗜好型パネルによる皮つきもも肉(ロースト)の評価は、おいしさに違いを認め、好みは脂肪の感覚が影響する(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本成果は、飼料用米を給与する際の留意事項となる。
2. トウモロコシ、玄米の配合割合及びその他飼料原料により、皮下脂肪の脂肪酸組成は変動する。
3. 食味に差違を認めることから、玄米の給与を生産物に表示または食肉利用者に説明をする必要がある。

[具体的データ]
表1 解体成績、肉色、脂肪色 表2 遊離アミノ酸、イノシン酸含有量
図1 脂肪酸組成
図2 もも肉の食味評価
[その他]
研究課題名:信州黄金シャモ生産振興事業
予算区分:県単
研究期間:2008年度
研究担当者:原雄一、唐木弥彦、高寺朗、西條勝宜

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