ディスクハローを活用した簡易草地更新用の省力播種機の開発


[要約]
ディスクハローの円盤を推進方向に平行に変更し、自作シードボックスを取り付けることにより、表土が浅く、石が多い草地でも簡易更新が可能な、市販の簡易草地更新機と同等の機能を持つ省力播種機を開発した。

[キーワード]簡易草地更新、草地保全、省力播種機、ディスクハロー

[担当]静岡畜研・環境飼料部
[代表連絡先]電話:0544-52-0146
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(草地)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
県内草地のほとんどを占める西富士酪農地域では、傾斜地で雨が多いことに加え、表土が浅く石が多いなどの不良条件を抱えている。そのため、プラウ等による耕起が困難であり、表土撹拌を伴う簡易更新でも土壌流亡が問題となる。さらに、酪農家の可処分所得の減少や労働力不足などによる、草地更新の滞りで、草地の生産性が低下している。そこで、低コスト・省力的で、不良条件にも対応した草地更新を実現するために、ディスクハローを活用した省力播種機を開発した。

[成果の内容・特徴]
1. 省力播種機の開発
ディスクハローの円盤を進行方向に対して平行にし、ディスクハローの後部にハローと同じ幅の自作シードボックスを設置した。シードボックスには20cm間隔で穴を開け、種子調節スリットと振動ワイヤーを取り付けた。また、シードボックスは透明樹脂を多用し種子量を外から把握できる。さらに軽量の素材を使ったことから一人で取り外しが可能であり、ディスクハローの前後ディスク軸の間にも取り付けが出来るようにした(図1写真1)。
2. 省力播種機の性能検証
開発した省力播種機を用いて草地の簡易更新を行うと、作業速度は、5.6km/hと、市販の部分耕転簡易更新機よりも約2倍の作業速度であった。また、ディスクハローを1回かけた後にブロードキャスタで播種する方法と比べても約1.5倍の作業速度であった。 さらに、播種1ヵ月後の発芽本数は、省力播種機が410本/m2、市販簡易更新機が368本/m2、ディスクハロー+ブロードキャスタが271本/m2であり、省力播種機は、市販簡易更新機と比べて、播種性能は同等であった(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 既にディスクハローを所有している農家であれば、10万円以下で省力播種機にすることができる。ただし、改造はディスクの向きを、土を起さずに溝を切るだけの角度にすることができるディスクハローに限定される。
2. 省力播種機を活用すれば、土壌の露出が少ないことから、傾斜地であっても表土流出がなく草地更新ができる。また、作溝をディスクハローで行うため、石が多い草地であっても機械に大きな負担をかけることがなく作業ができる。ただし、種子の大きさ、形状により播種量が変動するため、実際の使用には、調整を十分に行う必要がある。
3. 今回の成果は、播種から発芽までの結果であり、定着及び収量については調査をしていない。
4. 強風時の播種は、種子が風に流され、作溝に種が落ちないため、発芽率が低下することが考えられる。

[具体的データ]
図1 シードボックス図面
写真1 播種機背面 写真2 播種機側面
図2 ディスクハロー播種機と市販機の作業速度と発芽本数の比較
[その他]
研究課題名:草地生産を核とした酪農経営技術の検討
予算区分:県単
研究期間:2009年度
研究担当者:稲垣敦之、片山信也、佐藤克昭、古屋雅司、笠井幸治

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