堆肥連用によるトウモロコシおよびイタリアンライグラスの減化学肥料栽培


[要約]
堆肥由来の肥料成分と、土壌残存堆肥からの窒素供給量が徐々に増加することを考慮し、化学肥料を削減してトウモロコシおよびイタリアンライグラスを栽培すると、年間3t/10aまでの堆肥施用量では肥料コストが低減でき、化学肥料栽培と同程度の乾物収量が得られる。

[キーワード]堆肥連用、減化学肥料、トウモロコシ、イタリアンライグラス

[担当]群馬畜試・資源循環係
[代表連絡先]電話:027-288-2222
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(草地)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
肥料価格が高値で推移し、堆肥の肥料成分を有効に利用することが注目されている。そこで、冬作イタリアンライグラス、夏作トウモロコシにおいて堆肥からの肥料成分を利用した減化学肥料栽培を行うことで、飼料作物生産における肥料コストの低減を図る。

[成果の内容・特徴]
堆肥の年間窒素無機化率(%)をln(全窒素(乾物%))×41.1−6.0とし、無機化する窒素量(kg/10a)を(全窒素(乾物%)÷100)×堆肥乾物量(kg/10a)×(窒素無機化率÷100)により算出する(群馬畜試研報11号)。
 連用した土壌中の堆肥に残存している有機態窒素が、堆肥と同じ無機化率で夏作期間に75%、冬作期間に25%無機化するとして、堆肥と合計した総窒素供給量を求める。
 化学肥料での窒素施用量は、目標施用量から堆肥と土壌から供給される総窒素供給量を差し引いた量とする。リン酸、カリ施用量は堆肥の成分を100%利用可能とし目標施用量から差し引いた量とする。これにより、化学肥料を削減した栽培を行う。
1. 上記の施肥設計の考え方に基づき、堆肥施用量を年間1.5t/10a、3t/10a、4.5t/10a、7.5t/10aとすると、2年目には窒素化学肥料は堆肥1.5tで20%、3tで40%削減できる。
2. リン酸、カリの化学肥料施用量は、堆肥の成分含量の変動により削減割合も変動するが、リン酸は堆肥1.5tで26〜51%、3tで52〜94%削減できる。カリは堆肥1.5tで47〜55%、3tで92〜98%削減できる(図1)。
3. 堆肥を用いずに化学肥料のみ施用した栽培と比較して、2年間の合計の肥料コストは堆肥1.5tで35%、3tで66%低減できる(図2)。
4. 乾物収量は、トウモロコシ、イタリアンライグラスともに堆肥1.5t、3t施用で化学肥料のみ施用した栽培と同程度となる(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 化学肥料の削減により低コストな粗飼料生産が可能となる。
2. 堆肥4.5t、7.5t施用では化学肥料施用量、肥料コストは削減されるが、乾物収量が低くなる傾向が見られる。
3. 堆肥で化学肥料を完全代替すると、成分や肥効を調節することが難しく、作物生育も不安定になりやすいため、化学肥料とバランス良く施用する必要がある。
4. 堆肥は種類等によって肥料成分含量が異なるため、成分を分析して確認する。
5. 堆肥連用開始前の土壌窒素、リン酸、カリ供給量は勘案していない。
6. 1年目の目標施用量は、目標現物収量をトウモロコシ7t/10a、イタリアンライグラス5t/10aとし、今までの栽培試験におけるデータをもとに養分吸収量相当に設定している。また、2年目は1年目の養分吸収量の実測値を用い同様に設定している。

[具体的データ]
図1 化学肥料、土壌残存堆肥、堆肥からの肥料成分供給割合
図2 肥料コスト削減割合 図3 乾物収量
[その他]
研究課題名:堆肥利用による飼料作物化学肥料削減法の確立
予算区分:県単
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:佐藤拓実、横澤将美、高橋朋子

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