生稲わらのβ-カロテン・α-トコフェロール含量と予乾やサイレージ調製による変化


[要約]
生稲わらのβ-カロテンおよびα-トコフェロール含量には幅があるが、約8割は乾物中10〜50 mg/kgおよび178〜600mg/kgの範囲にある。いずれも予乾やサイレージ調製により低下するが、α-トコフェロールは乾燥稲わらの含量までは低下しにくい。

[キーワード]生稲わら、β-カロテン、α-トコフェロール、予乾、サイレージ調製

[担当]富山畜研・飼料環境課、酪農肉牛課
[代表連絡先]電話:076-469-5921
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(草地)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
国産稲わらの利用拡大のためには、従来の乾燥稲わらに比べ乾燥・収集作業が天候の影響を受けにくい、生稲わらや予乾稲わらのサイレージ利用が有効と考えられる。しかし、肉用種肥育牛への給与において肉質への影響が懸念されるβ-カロテンや肉の保存性向上効果が期待されるα-トコフェロールの含量については、明らかではない。そこで、生稲わらのこれら含量の分布と、予乾やサイレージ調製による変化について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 2006〜2009年産の生稲わら58個の分析値において、β-カロテン含量は乾物中10〜207 mg/kgと幅があるが、約8割は10〜50 mg/kgの範囲にある。α-トコフェロール含量は乾物中178〜1071 mg/kgと幅があるが、約8割は178〜600mg/kgの範囲にある(図1)。
2. 生稲わらのβ-カロテン含量は、予乾日数の経過とともに低下し、切断わらでは3日、長わらでは4日以上の予乾により一般的な乾燥稲わらの含量である乾物中10mg/kg以下となる。α-トコフェロール含量は、切断わらでは予乾日数の経過とともに低下するが長わらでは維持される傾向にあり、3日から4日の予乾では一般的な乾燥稲わらの含量(乾物中5〜155 mg/kg:当所分析値)までには低下しない(図2)。
3. β-カロテンおよびα-トコフェロールを、乾物あたりそれぞれ33〜37mg/kgおよび400〜466mg/kg含む生稲わらで調製したサイレージにおいて、β-カロテン含量は貯蔵期間の長期化にともない漸減するが、α-トコフェロール含量は貯蔵6ヵ月以降の低下が少なく、1年間貯蔵しても乾燥稲わらの含量までには低下しない(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 生稲わらサイレージおよび予乾稲わらサイレージを利用する場合の参考として活用できる。
2. 予乾やサイレージ調製により、生稲わら中のβ-カロテン含量は低下し、α-トコフェロール含量はある程度維持されることから、肥育牛への給与に有利である。
3. 3〜4日予乾した稲わらの水分含量は、18.1〜28.5%である。
4. 生稲わらサイレージは、稲の刈取り時にコンバインから排出された切断稲わらを当日中に梱包・密封しており、収穫時に拡散や集草は行っていない。

[具体的データ]
図1 生稲わらのβ-カロテンおよびα-トコフェロール含量の分布割合
図2 生稲わら中β−カロテンおよびαコフェロール含量の予乾による変化
図3 生稲わらサイレージ中β-カロテンおよびα-トコフェロール含量の貯蔵による変化
[その他]
研究課題名:生稲わらサイレージおよび食用米副産物等を活用した黒毛和種去勢牛向け発酵TMR調製・給与技術の開発
予算区分:委託プロ(えさ)
研究期間:2006〜2009年度
研究担当者:金谷千津子、高平寧子、吉野英治、清水雅代、廣瀬富雄、丸山富美子

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