家畜ふん堆肥の二次発酵における大腸菌群の消長


[要約]
肉牛・豚・鶏の混合ふんの堆肥化では、一次発酵後の堆肥から大腸菌群が検出される可能性があるが、二次発酵により大腸菌群は検出限界未満に低減する。一次発酵後の堆肥と二次発酵中の堆肥を混合し堆積発酵することで、大腸菌群は検出限界未満に低減する。

[キーワード]二次発酵、大腸菌群、堆肥化

[担当]栃木酪試・環境飼料部・畜産環境研究室、畜環研・研究開発部
[代表連絡先]電話:0287-36-0768
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(畜産環境)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
堆肥化の一次発酵中に発生する熱は、有害な微生物や雑草の種子などを死滅させる働きがあるが、表面からの放熱や温度のムラなど、堆肥全体が均一に温度上昇するとは限らない。この時、堆肥中にこれらが生き残る可能性も考えられることから、一次発酵後や二次発酵中の堆肥に含まれる大腸菌群の動向について調査する。

[成果の内容・特徴]
1. 栃木県畜産試験場から排出される生ふん尿(肉牛67%、豚21%、鶏12%の混合物、生ふん区)、この生ふん尿を強制発酵施設(ロータリー式)で1.5か月堆肥化した堆肥(一次堆肥区)及びこの堆肥を堆肥舎で6か月間堆積させた堆肥(二次堆肥区)の大腸菌群や水分、pHなどについて分析する。大腸菌群の分析方法は、堆肥20g対してリン酸緩衝滅菌生食水を180ml入れて振とうし10倍希釈の抽出液を得て、これをデソキシコール酸塩酸培地法で計測する。一次堆肥区は、水分と酸素消費量から易分解性有機物がほぼ分解されていると考えられるが、大腸菌群は検出される(表1)。なお一次堆肥区は、堆肥表面から発酵熱が放熱される可能性も考えられたが、堆肥内部の温度について定点を決めて毎週測定したところ、どの部分も60度以上である。
2. 一次堆肥区から大腸菌群が検出される要因として、生ふんを攪拌した攪拌機が洗浄されることなく翌日に製品取り出し口の堆肥を攪拌して大腸菌群に汚染されたこと、攪拌機でも攪拌されない死角に残った未熟な堆肥に一次発酵した堆肥が接触し大腸菌群に汚染されたこと、堆肥表面の温度が下がった部分で大腸菌群が完全に殺滅されなかったことなどの複合的な要因により、再度大腸菌群が増殖することが考えられる。
3. これら3試験区の堆肥をビーカーに約300g入れ30度で培養し、0、1及び7日目に大腸菌群を分析したところ、1日目に一次堆肥区は減少傾向がみられ、7日目には検出されなくなる。一方で、生ふん区は培養してもほとんど減少しない。この減少した要因としては、大腸菌群の栄養源となる易分解性有機物が少ないことなどの影響によるものと考えられる(図1)。なお水分の蒸発を考慮し、2〜3日毎に減少した水分量と同量の滅菌蒸留水を加える。
4. 一次発酵した堆肥は、二次発酵中の堆肥と混合し堆積されて保管されることから、一次堆肥と二次堆肥を重量比でそれぞれ9:1(9:1区)、5:5(5:5区)及び1:9(1:9区)の割合で混合した後、30度で培養0、1及び7日目に大腸菌群を分析したところ、0日目、1日目は大腸菌群が検出されるものの、7日目には大腸菌群が検出されなくなる(図2)。これは、「3」と同様の要因が考えられる。

[成果の活用面・留意点]
1. 堆肥化において堆肥内部が60℃以上であっても、堆肥表面からの放熱などにより大腸菌群は生存及び増殖する可能性があるため、二次発酵を十分に行う必要がある。
2. この結果は、大腸菌群を指標とした動向であるため、実際に有害微生物が同じような動態をたどるとは限らない。

[具体的データ]
表1 堆肥中の成分値
図1 堆肥を培養した時の大腸菌群数の変化
図2 堆肥を混合し培養した時の大腸菌群	の変化
[その他]
研究課題名:家畜ふん堆肥流通促進技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2006〜2009年度
研究担当者:s正人、阿久津充、脇阪浩、小池則義、木下強、長峰孝文(畜環研)

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