スクリュー型固液分離装置で乳牛ふんを圧搾し固形分の塩類濃度を低下させる


[要約]
圧搾圧が可変のスクリュー型固液分離装置で水分85%程度の乳牛ふんを固液分離し、固形分のEC値を58%減らすことができる。さらに、圧搾した固形分に加水して再度圧搾する方法で搾汁液量が処理乳牛ふんと同重量程度でEC値を84%減らすことができる。

[キーワード]固液分離装置、乳牛ふん、塩類濃度、EC値

[担当]神奈川畜技セ・企画経営部
[代表連絡先]電話:046-238-4056
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(畜産環境)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
野積の禁止やおが屑の入手難による戻し堆肥の利用により、乳牛ふん堆肥は従来品に比べて塩類濃度が高くなっている。塩類濃度の高い堆肥は耕種農家が期待する土壌物理性改良に重点をおいた資材には適さない。そこで、耕種農家のニーズに適合した塩類濃度の低い堆肥の製造技術を確立する目的で、圧搾圧を変えることができる小型のスクリュー型固液分離装置を試作し、固形分のEC値の低減効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 市販のスクリュー型固液分離装置を基に作製した試作機は、スクリュー径150mm、ウエッジワイヤースクリーン幅2mmで、処理対象が乳牛ふん、処理能力が100〜200kg/h、モーター200V1.5kWの小型装置で(写真1)、固形分排出部に長さの違う筒状アダプター(10〜50mm)を取り付けることで圧搾圧を調整できる。
2. 本試作機で当センターのフリーストール牛舎から排出された乳牛ふんを固液分離すると、アダプターが長いほど圧搾圧が高くなり、固形分の水分は10mmアダプターでは78.1%であるが、50mmアダプターでは67.2%に低下する(表1)。また、固形分のEC値(水抽出、1:10)も低下し、50mmアダプターでは乳牛ふんのEC値11.2dS/mが固形分では4.6dS/mとなり、EC減少率は58%となる。一方、固液分離される液分の量は増加し、50mmアダプターでは重量比で76.2%となる。
3. 本試作機の処理量は水分85%の乳牛ふんでは89kg/hとなり、水分が低いほど処理量は低下する(図1)。また、乳牛ふんの水分が83%以下では粘性が高くなり、固液分離操作が困難となる。
4. 乳牛ふんに直接水を加えて固液分離すると(1回圧搾)、固形分のEC値は低下するが、多量の搾汁液が生じる(表2)。そこで、一度固液分離した固形分に、固形分と等重量の水を加えて再度圧搾すると(2回圧搾)、50mmアダプターでは固形分のEC値を84%低減することができ、かつ搾汁液は材料の乳牛ふんの重量とほぼ同程度まで減らすことができる。
5. 固液分離した固形分の堆肥化では、おが屑など水分調整資材を用いなくても、そのまま堆積するだけで発酵温度は60℃を超え、良好な堆肥化発酵が生じる。

[成果の活用面・留意点]
1. 乳牛ふんの処理に固液分離装置を利用することで、副資材を使用せずに土壌改良資材を目的とした塩類濃度の低い乳牛ふん堆肥が製造できる。
2. ふん尿分離がよくて水分の低い乳牛ふんは、適正に固液分離されない場合があるので、乳牛ふんに少量加水して固液分離する必要がある。
3. 固液分離により発生した搾汁液は、液肥化により圃場還元するなど適切に処理する必要がある。

[具体的データ]
表1 試作機の固液分離状況と電気伝導度(EC)
表2 乳牛ふんに直接加水して固液分離した場合(1回圧搾)と一度固液分離した固分に等重量加水して再度圧搾した場合(2回圧搾)のEC値と搾知る液量
図1 乳牛ふんの水分と処理能力の関係 写真1 試作した固液分離装置(右)と固形分排出部(左)
[その他]
研究課題名:高品質堆肥生産技術の開発
予算区分:バイオマス・マテリアル製造技術の開発
研究期間:2007〜2011年度
研究担当者:田邊眞、川村英輔、竹本稔(神奈川農技セ)、加藤直人(中央農研)

目次へ戻る