簡易な反応槽で豚舎汚水中のリンを低減・回収できる


[要約]
簡易型MAP反応槽を用いた農家実証では、30%MgCl2溶液をふん尿分離汚水に対して0.1%量を添加することで、豚舎汚水中のリン除去率69%を示す。反応槽投入汚水中の水溶性リン量当たりの回収MAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)量は0.6kg/kgと算出。

[キーワード]リン、MAP、豚舎汚水、簡易型MAP反応槽、農家実証

[担当]神奈川畜技セ・企画経営部
[代表連絡先]電話:046-238-4056
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(畜産環境)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
畜舎汚水から水溶性のリンを結晶として回収するリン結晶化を、塩ビ管で作成した簡易型MAP反応槽(図1)を用いて誘導する手法について検討している。そこで県内養豚場のふん尿分離汚水対象の肥育豚換算600頭規模(曝気槽容積85m3)の回分式活性汚泥浄化槽に本反応槽を設置し、その適用を試みる。

[成果の内容・特徴]
1. 汚水反応時間(HRT)1時間、曝気強度47〜49m3/m3・時の運転条件とし、反応後の汚水中の水溶性マグネシウム濃度が40mg/リットル程度となるよう30%塩化マグネシウム溶液を汚水量に対して0.1%添加する条件でMAP反応槽を運転したところ、豚舎汚水中の水溶性リン濃度は68.3から20.9mg/リットルに低減し、その除去率は69%である(図2)。
2. 豚舎汚水を5m3/日の割合で反応槽に投入し、夏の42日間におけるMAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)回収量及びMAP回収効率を調査したところ、MAP回収量は8.6kg、回収効率は投入水溶性リン当たりのMAP回収量は0.6kgMAP/kgPである(図2)。
3. 肥育豚1,000頭規模(汚水量10m3/日)への簡易型MAP反応槽の導入コストは、1)塩ビ管反応槽で48万円、2)電気設備関係で45万円、3)その他7万円の合計100万円である(表1)。
4. 汚水量10m3/日、水溶性リン濃度60mg/リットルの豚舎汚水に対し、曝気強度45m3/m3時、HRT1hr、Mg添加量0.1%(対汚水量)の条件で本装置を運転した場合、上記0.6kg/kgのMAP回収効率から131kg/年のMAPが回収できると推計される。その際、リン除去及び回収のための装置運転コストは、電気代、Mg代ともに8.8万円となり総額18.1万円となる。MAP1kgを生産するには1,380円の運転コストが必要である((表1)表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本装置は、塩ビ管で作成した簡易な反応槽であるとともに、省スペース型の反応槽であるため、既存施設の空きスペースに低コストで設置が可能である(画像1)。
2. 本装置におけるMAP回収効率を求めたことから、豚舎汚水の水溶性リン濃度及び汚水量が把握できれば、回収MAP量が試算可能である。

[具体的データ]
図1 簡易型MAP反応槽及び消泡槽の概略図 表1 コスト計算
画像1 振動篩脇の空きスペースに設置した簡易型MAP反応槽図2 現地実装試験(夏)のMAP回収効率
[その他]
研究課題名:資源回収技術を活用した回分式浄化槽の検討
予算区分:高度化事業
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:川村英輔、田邊眞、鈴木一好(畜産草地研)、竹本稔、上山紀美子(神奈川農技セ)

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