ニホンナシの盛土式根圏制御栽培における導入コスト削減ができる底面給水法


[要約]
底面給水法は、地中に埋め込んだ給水管に給水マットを差し込み、盛土の底面に敷いた給水マットから給水する方法で、盛土にマルチすることで土壌水分は適正に保たれ、灌水制御盤等が不要のため大幅に導入コストが削減できる。

[キーワード]ニホンナシ、底面給水、盛土式根圏制御栽培、低コスト

[担当]栃木農試・園芸技術部・果樹研究室
[代表連絡先]電話:028-665-7143
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
本県で開発したニホンナシのドリップ灌水による盛土式根圏制御栽培は、慣行の地植平棚栽培の2倍以上の多収となり、品質が良く、軽労化や土壌病害等を一挙に解決できる革新的な栽培法である。しかし、灌水装置等の導入経費がかかることから、安価で安定的に給水できる灌水方法として底面給水法を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. ニホンナシの盛土式根圏制御栽培は、地面にビニル、遮根シートの順に敷いた上に赤玉土とバーク堆肥を2:1に混合した培土を盛り、苗を植え付ける。仕立て法は、2本主枝Y字仕立てとし、地上1mの高さの主枝から約130pの結果枝を約50度斜め上方に誘引する。
2. 底面給水装置は給水マット(ユニチカ製ラブマットU、幅50p×奥行き70p)をビニルと遮根シートの間に敷設し、ボールタップにより常に一定水位を維持した直径100oの塩ビ管上部(50p×1pに開口)に挿入し行う。また,盛土にはビニルマルチする。なお,挿入口から盛土の奥の方に5%の傾斜をつけ、給水した水が反対側に流れ落ちないようにする(図1)。
3. 給水マットの水の浸透は、垂直方向へ10p、水平方向へ200pである。給水マットの上に盛土をすると、水は垂直方向に最大で20p上昇、水平方向へは50pまで水が浸透する。また、盛土にマルチをすることで土壌水分含水率は高く保たれ、盛土全体に水分が供給される(図表省略)。
4. 加温ハウスにおける「幸水」の底面給水法では、500本/10a植(樹間1m×列間2m)で32果/樹を着果させた場合、果重が330g、収量が5s/m2を上回りドリップ式同様多収が得られる。また、222本/10a植に樹冠を拡大した場合、同様のm2当たり着果量で糖度が向上する(表1)。
5. 底面給水法は自主施工が可能となり、灌水施設導入に係わる経費は10a当たり245千円とドリップ式の1/5程度に抑えられ、低コストでの導入が可能である(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 根圏制御栽培を底面給水法により行う場合は、地面の傾斜が大きいと塩ビ管の水平がとりづらいため、水平な場所に限定される。
2. 経済樹齢はドリップ灌水では15年程度まで収量・品質が高いことが実証されているため、底面給水においても15年程度の栽培が可能と考えられる。

[具体的データ]
図1 底面給水法による盛土式根圏制御栽培の概要
表1 葉面積指数、収量及び果実品質(2006年)
表2 灌水関係等導入にかかる経費
[その他]
研究課題名:ナシの毛管給水による根圏制御栽培技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:大谷義夫、林 雅子

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