「幸水」より早く収穫できる大果のニホンナシ新品種「香麗(こうれい)」、「なつみず」H3


[要約]
「香麗」は7月下旬から8月上旬に収穫される極早生の赤ナシで、平均果重は370g、糖度は「幸水」並で「筑水」に似た香りを有する。「なつみず」は8月上旬から中旬に収穫される早生の赤ナシで、平均果重は420g、糖酸のバランスがよく食味良好で果形も良い。

[キーワード]ニホンナシ、赤ナシ、新品種、極早生、早生、大果

[担当]神奈川農技セ・果樹花き研究部
[代表連絡先]電話:神奈川農技セ・果樹花き研究部
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
ニホンナシの主要品種「幸水」の収穫期は神奈川県においては旧盆以降であり、「幸水」より早く収穫できる品種の導入は、販売期間の拡大により経営が安定するとともに、贈答用の需要にも対応でき、有利販売ができると期待される。  そこで、交雑・選抜育種により「幸水」より早く収穫できる大果・良食味の新品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 「香麗(こうれい)」(仮称)は1998年に「あけみず」に「筑水」を交雑した実生から、「なつみず」(仮称)は1998年に「喜水」に「あけみず」を交雑した実生から選抜した品種である。両品種とも2009年度中に品種登録出願を予定している。
2. 「香麗」:樹勢は中程度で、短果枝の着生は中程度、腋花芽の着生は少ない。満開期は「豊水」とほぼ同時期で、果実は7月下旬から8月上旬に収穫される(表1)。果皮色が黄褐色の赤ナシで、平均果重は370g、花粉親の「筑水」より2階級程度大きい。糖度は12.6%で、酸味は「幸水」と同程度でほとんどなく、果肉はやわらかく「筑水」に似た香りを有する(表2図1)。
3. 「なつみず」:樹勢はやや強く、短果枝の着生は中程度、腋花芽の着生は少ない。満開期は「豊水」とほぼ同時期で、果実は8月上旬から中旬に収穫される(表1)。果皮色が黄赤褐色の赤ナシで、平均果重420g、大玉で外観も良好である。糖度は12.6%で、肉質はやや粗く、酸味があるが豊水ほど強くはない。糖酸のバランスが良く、食味良好である(表2図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 品種名「香麗」「なつみず」は仮称である。
2. 両品種とも神奈川県外にも許諾を実施する予定である。
3. 両品種とも黒斑病抵抗性、えそ斑点病潜伏性であり、黒星病やその他の病害虫は慣行防除で十分対応できる。
4. みつ症等の果肉障害は認められない。
5. 「なつみず」は収穫が早いと酸味を強く感じるため、完熟した果実を収穫する。

[具体的データ]
新品種及び対照品種の生育特性(2006〜2008年)
新品種及び対照品種の果実特性(2006〜2008年)
図1 「香麗」(あけみず×筑水)図2 「なつみず」(喜水×あけみず)
[その他]
研究課題名:ナシの新品種育成
予算区分: 県単
研究期間:1995〜2009年度
研究担当者:曽根田友暁、柴田健一郎、関達哉

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