糖度が高い晩生マンダリン新品種「みえ紀南2号」


[要約]
「アンコール」に「森田ポンカン」を交配して得られたカンキツ新品種「みえ紀南2号」は、1月から2月に収穫できるマンダリンタイプのカンキツで、皮がむきやすく、糖度が高い。

[キーワード]マンダリン、新品種、高糖度、「みえ紀南2号」

[担当]三重農研・紀南果樹研究室
[代表連絡先]電話:05979-2-0008
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
三重県東紀州地域は温暖な気候を活かしたカンキツ生産が盛んであり、中晩生カンキツとして「新甘夏」等が導入され栽培されてきた。しかし、近年の景気低迷やカンキツ消費量の減少等によりカンキツ農家は厳しい経営状態が続いているため、高糖度なカンキツ新品種の育成が求められてきている。そこで、「新甘夏」等に代わる高糖度なカンキツの育成を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 本品種は、1992年に紀南かんきつセンター(現紀南果樹研究室)において、「アンコール」を種子親に「森田ポンカン」を花粉親として育成し、「みえ紀南2号」として2009年3月に品種登録された。
2. 樹姿は直立から中間で樹勢は強い。トゲの発生は原木では見られるが、結実し始めると徐々に消失してくる。皮はむきやすく果汁も多く、裂果などの生理障害はみられない。発芽および開花期は、「森田ポンカン」とほぼ同時期である。三重県南部での成熟時期は、1月下旬から2月下旬である(表1)。
3. 果実の大きさは165〜180gになり、「森田ポンカン」より大果で扁平である。果皮色は、「森田ポンカン」に比べ赤みが強い。糖度は、「森田ポンカン」よりやや高く14%程度になる。平均含核数は、8〜9個と多い(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 果皮色は、赤味が強く陽光面では退色が見られるため袋掛けを行うことが望ましい。
2. 当面、関係団体と連携しながら県内農家に普及を図る。

[具体的データ]
表1 「みえ紀南2号」の特性(2007年)
表2 「みえ紀南2号」の果実形質
図1 「みえ紀南2号」の果実(左)と果実切断面(右)
[その他]
研究課題名:東紀州地域のカンキツ産業活性化のための技術開発事業他
予算区分:県単
研究期間:2004〜2009年度
研究担当者:市ノ木山浩道、前博視、須崎徳高
発表論文等:市ノ木山浩道、前博視、三重県(2009)品種登録第17971号

目次へ戻る