ニホンナシ「幸水」の根域制限栽培で早期多収が可能な二本主枝垣根仕立て法


[要約]
「幸水」の高うね式根域制限栽培で棚下主幹部に側枝を配置する二本主枝垣根仕立てを組み合わせた新しい栽培法を開発した。この新栽培法は初期収量が慣行栽培の約2倍で、定植4年目で成園並みの収量を得ることができる。

[キーワード]ニホンナシ、仕立て法、根域制限、早期多収、二本主枝垣根仕立て

[担当]石川農総研・育種栽培研究部・園芸栽培グループ
[代表連絡先]電話:076-257-6911
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
ニホンナシ栽培は成園化までに長い期間を要し、初期収量が少ないことが課題となっている。新しく開発した高うね式根域制限による二本主枝垣根仕立ては、棚下主幹部に側枝を配置する樹形と密植により早期多収が期待できることから、この新栽培法の収量性と果実品質について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 二本主枝垣根仕立ては、二本主枝仕立てを基本に棚下の主幹部分から左右合計6本の側枝を配した樹形である。大苗育成した2年生苗木を、遮根シートの上に堆肥等で土壌改良した用土600リットルの高うねに定植する。植栽間隔は列間5m、樹間2.5mで慣行栽培の2倍となる10aあたり80本植えの密植とする(図1)。
2. 新栽培法は定植2年目(4年生樹)から棚下側枝が結実し始め、定植4年目(6年生樹)には成園並みの3t/10a以上の収量が得られる。初期収量(4〜6年生樹)は同じ樹齢の慣行栽培に比べ2倍以上の収量で、また成園並みの収量に達する樹齢は慣行栽培に比べ3年早い(図2)。
3. 棚上果実の果実品質は、果重や糖度など慣行栽培とほぼ同等である。棚下果実は糖度がやや低いものの12%以上で問題のないレベルである。新梢の生育は新梢長、花芽着生数とも慣行栽培とほぼ同等である(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 「幸水」での成果であり他の品種については未検討である。現在樹齢10年まで実証されている。
2. 棚下側枝を配置するため、棚下に3本の補助線を高さ70cm、100cm、130cmに設置する。
3. 棚下側枝は摘果などの管理作業が目の前ででき、棚上の作業に比べて肩や首への負担も軽減されることから、成園並みの収量に達した後も年に2本ずつ計画的に更新しながら維持管理する。
4. この栽培法のマニュアルを作成し、 http://www.iff.pref.ishikawa.jp/nashisaibai/nashisaibai.html で公開している。

[具体的データ]
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図1 二本主枝垣根仕立ての育成法
図2 新栽培法の収量推移
表1  新栽培法の果実品質と樹体生育
[その他]
研究課題名:北陸の気象・重粘土壌条件下での高商品性省力果樹栽培技術の開発
予算区分:実用技術
研究期間:2005〜2009年度
研究担当者:小浦場 卓、松田賢一、山内大輔、井須博史、中野眞一、木下一男

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