ニホンナシ新品種「彩玉」(さいぎょく)の結実特性および収穫期予測法


[要約]
「彩玉」は、開花当日〜1日後の花に受粉すると結実性が高い。受粉は、果形が良く、軸長の長い4〜6番花に行う。着果基準は5節に1果程度にすると大玉で高い糖度の果実が収穫できる。また、満開後33日間の平均気温から収穫開始時期が予測できる。

[キーワード]ニホンナシ、「彩玉」、結実性、適正番花、着果基準、収穫予測

[担当]埼玉農総研セ・園芸研究所・果樹担当
[代表連絡先]電話:0480-21-1113
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
埼玉県育成のニホンナシ新品種「彩玉」は、大玉で、糖度の高いオリジナル品種として県内での栽培が拡大しているが、安定した品質の果実を収穫するための基礎的な栽培指標が確立されていない。そこで、結実特性や着果基準、および、収穫期判定方法を明らかにし、高品質果実を安定して生産できる技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. 「彩玉」の結実性は、開花からの経過日数に応じて低くなり、特に開花後2日を経過すると結実率が低くなるの(図1)。
2. 着果させる番花は、1〜3番花(特に1番花)では、大きくなるが、変形率がやや高く、軸長が短く軸折れが懸念される。また、7番花以上では極端に果実が小さくなる(表1)。
3. 着果基準は、1果/5節、1果/4節、1果/3節の順で平均果重が大きくなり、特に1果/5節では、650g以上の大玉率が高く、糖度も安定して高い傾向であった。(表2)。
4. 満開後33日間の平均気温(x)と満開から収穫開始までの日数(y)には負の相関関係が認められ、その関係式はy=−4.99x+210となる。この関係式は2008、2009年にも適合し、収穫開始時期を予測する方法として利用できる(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本品種は当面埼玉県内限定で栽培を許諾する方針である。
2. 栽培管理について、受粉は開花当日若しくは開花後1日経過程度の花に行い、軸折れ防止のため、上〜横向き果台では4〜6番花、斜め下〜下向き果台で2〜6番花に受粉する。着果基準は1果/5節程度とすると、高品質果実が安定して収穫できる。
3. S遺伝子型はS3S5であることが明らかとなっており、「豊水」等とは交配親和性が無いので受粉に際しては同型の品種を用いないよう注意する。
4. 無袋では成熟期果実の色上がりがやや暗いのに対し、有袋では明るい色上がりとなり外観が優れるが、袋の種類(K社製AR65H等)によって糖度が低くなる傾向があるので注意する。

[具体的データ]
図1 「彩玉」の受粉における開花後の経過日数が結実率に及ぼす影響 表1 「彩玉」の着果番花と果実品質の関係('04年時点20年生原木)
表2 「彩玉」の着果基準の違いが果実品質に及ぼす影響
図2 「彩玉」の満開後33日間の平均気温と満開日から収穫開始までの日数の関係
[その他]
研究課題名:ナシ新品種「彩玉」の短期産地ブランド化
予算区分:県単
研究期間:2003〜2009年度
研究担当者: 島田智人、浅野聖子、須賀昭雄、大庭恵美子

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