コギク9月彼岸出荷作型では露地電照を行うと需要期に安定して出荷できる


[要約]
自然開花期が8月下旬から9月彼岸前の品種に、夜間4時間の暗期中断による露地電照を行うと、より彼岸出荷適期に近い時期に出荷できる。電照により採花日の年次変動が小さくなる品種が多く、採花時期が安定する。

[キーワード]コギク、電照、露地、9月彼岸出荷、年次変動

[担当]茨城県農業総合センター・園芸研究所・花き研究室
[代表連絡先]電話:0299-45-8341
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
温暖化に伴う気象の年次変動により、露地コギクの開花が不安定になり、需要期安定出荷が難しくなりつつある。8月旧盆出荷作型では露地電照を導入して需要期に開花をあわせた出荷が普及しつつあり、9月彼岸出荷作型でも需要期安定出荷のための電照技術の確立が望まれている。そこで、9月彼岸出荷作型における安定出荷のための電照処理の効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 6/15から7/26までの電照による開花抑制効果は、無処理に対する採花日の差が3日から19日まで品種により様々であるが、概して自然開花期が早い品種ほど抑制効果が高い(図1)。また、自然開花期が彼岸以降となる「きらめき」を除いて、電照処理によって彼岸前の需要期に出荷することが可能である(図1)。
2. 供試品種した多くの品種で、3年間(H18-20年)の採花日の年次変動は電照区(標準偏差:2.01)で無処理区(同:2.91)より小さく、電照処理によって開花の年次変動が軽減され、採花時期が安定する(図1)。
3. 切花長は全品種で電照処理により長くなり、その程度は品種により異なる(図2)。
4. 花房形は電照処理により大きな影響は受けないが、頂点咲きが増える品種(「祭典」「せせらぎ」「天露」「星の恋」)や、頂花が下がる品種(「夏こぼし」「美人草」「花舟」)があるなどの品種間差異がみられる(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 露地電照処理は約10m2当たりに白熱電球(75w)1球を地表から1.5mの高さに設置し、暗期中断4時間(22:00〜2:00電照)で行った。
2. 露地電照処理の期間は3年間6/15から7/26まで行った。
3. 「ミミレ」等の電照で草丈が高くなりすぎる品種では、定植を遅らせるなど草丈を調節する対策を行うことが望ましい。

[具体的データ]
図1 電照処理が採花日に及ぼす影響ならびに年次変動

図2 電照処理が切り花長に及ぼす影響ならびに年次変動

図3 電照処理が花房形の割合に及ぼす影響
[その他]
研究課題名:電照施設利用による夏秋ギクの安定出荷技術の開発、他
予算区分:県単、委託プロ
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:常見高士、門脇伸幸、本図竹司

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