黄色のスプレーギク 「静育7号」 の育成


[要約]
秋咲きの黄色のスプレーギク新品種 「静育7号」 を育成した。 明るい黄色が鮮やかな7.5週タイプのスプレーギクで多花。 下部の側枝には3輪ずつ着蕾し、確実に開花する。 摘心栽培、無摘心栽培ともに利用可能である。

[キーワード]スプレーギク、黄色、秋ギク、新品種

[担当]静岡農林研・新品種開発部
[代表連絡先]電話:0538-36-1558、 電子メールagrihinsyu@pref.shizuoka.lg.jp
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
産地強化のためにオリジナル品種の育成を進めている。
 多花性でボリューム感のある黄色の秋咲きスプレーギクを育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 交配により秋咲きの黄色のスプレーギク新品種を育成した。
2. 育成経過は以下のとおり。
05年秋 種子親 「ゴールデンハーベスト」 に 花粉親 「レモンクイン」 を交配。
06年秋 実生26個体から2個体を選抜。
07年秋 明るい黄色、多花、ボリューム感 で1個体(05-59-02)を選抜。
08年  浜松市内の産地で試作。
09年 もうひとつの有望な黄花系統(06-48-02)と現地適応性を比較した。両者ともボリューム感に優れたが(表1)、花色がより鮮やかで蕾が上部に密集して着くことなど品質面で05-59-02の方が生産者の評価が高かった。 所内で特性調査および官能評価(切花の人気投票)を実施したところ、やはり05-59-02の方が消費者の人気が高かったことから、新品種候補として育成系統名 キク「静育7号」を付した。
現在、品種登録準備中(09年12月現在)。
3. 品種特性は以下のとおり。
 季咲きは11月上旬で、7.5週タイプの秋ギク(表2)。
 花色は明黄(2506:JHSカラーチャート、9B:RHSカラーチャート)で、花盤が小さく、緑心で、抱え咲き。
 多花性で季咲きでは30輪以上着生し、花穂長(花が着いている部分の長さ)が長い(表1)。
 上部の蕾と側枝の蕾の開花程度が揃っているため(図1)、下部の蕾も確実に咲く。
 寡日照時に密植すると下部に側枝が着生せず、花蕾数は10輪強に減少する(表2)。
 摘心栽培、無摘心栽培のどちらでも利用できる。

[成果の活用面・留意点]
1. 品種登録を予定している。
2. キク「静育7号」は育成系統名で、品種名を改めてつける予定。
3. 寡日照時に密植するとボリューム不足になって収量が減る(表3)。 

[具体的データ]
表1  育成中のスプレーギク有望系統の切花品質  11月下旬収穫(現地試験)
表2  年末出荷作型におけるスプレーギク「静育7号」の切花品質(現地試験)
表3  年末出荷作型におけるスプレーギク「静育7号」の階級別切花本数(現地試験)
図1 スプレーギク「静育7号」の切花と下部側枝の様子
[その他]
研究課題名:特産花き新品種の開発研究と有用遺伝子を活用した選抜マーカーの開発研究
予算区分:県単
研究期間:2007〜2011年度
研究担当者:本間義之、山田栄成、岩ア勇次郎

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