バラのアーチング栽培での株元加温による高品質化


[要約]
バラのアーチング栽培において、株元に温湯パイプを設置し、25〜35℃の温水を流すことにより、常に出芽、伸長、採花を繰り返す株元への効率的な加温が可能となり、到花日数の短縮や切り花長、切り花重、節数などの切り花品質が向上する。

[キーワード]バラ、株元加温、切り花品質

[担当]神奈川県農業技術センター・果樹花き研究部・花き観賞樹担当
[代表連絡先]電話:0463-58-0333
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
冬季のバラ栽培では、従来より温湯又は温風加温機で温室内全体を暖房することにより生産性を維持しているが、暖房経費の負担が大きく、経営を圧迫する。そこで、温室内全体を暖めるのではなく局所的に株元加温を行い、バラの出芽・伸長の促進、切り花の高品質化、安定した生産性の確保を可能とする栽培技術の開発を目指す。今回は通常の加温温度である室温18℃での株元加温効果を検証した。

[成果の内容・特徴]
1. 栽培システムは、高設ベンチ上に定植したバラ苗を挟み込むように温湯パイプを設置 し、光合成枝を株元より折り曲げて、パイプの上に配し、アーチング仕立てにて栽培を 行う(図1)。温湯パイプには、電熱ヒータ等を用いて25〜35℃に暖めた温水をポンプ を用いて循環させ、効率よく株元を暖める。
2. 加温効果は温湯パイプに近いほど効果が高く、無処理と比べ株元30cm範囲の温度が高 く確保できる(図2)。
3. 株元加温により、採花本数の減少はみられない(表1)。
4. 折り曲げ後の1番花の到花日数は、株元加温35℃、25℃いずれも61日で、無処理より 4日ほど早まる(表1)。
5. 切り花長は、株元加温により10cm程度長くなる(表1)。比率でみると、株元加温区 は100cm以上の比率が50%以上であるのに対して、無処理は20%程度である(データ省  略)。切り花重は、切り花長の長さを反映して株元加温の方が重くなる傾向がある(表1)。
6. 切り花節数は、株元加温により2節程度多くなる(表1)。
7. シュートは、株元加温により折り曲げ後早期に伸長が開始し、切り花長に影響する  (図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 特許(特願2008-293654)申請中。
2. アーチング栽培(特許2003777号)を前提とした技術である。
3. 品種「ローテローゼ」、定植2007年9月、最終折り曲げ2007年11月28日。室温は昼間  23℃換気、夜間18℃加温で行い、室温センサーはベンチ上のバラの株元と同じ高さ(地 上1m)に設置した。
4. 温湯パイプには、外径35mm、塩ビ製、蛇腹の形状のものを用いた。
5. 室温の設定、パイプの種類や形状等により、株元加温効果は異なる。

[具体的データ]
図1 株元加温方法 図2 温湯パイプから垂直方向の距離と温度との関係(2008年2月5日0時)
表1 株元加温の温度差がバラの生育及び切り花品質に及ぼす影響
図3 株元加温の温度差がシュートの伸長に及ぼす影響
[その他]
研究課題名:花き類の省エネルギー・低コスト技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2007〜2008年度
研究担当名:原 靖英

目次へ戻る