積雪地における前年秋季の畝仮造成による初夏どりキャベツの安定生産技術


[要約]
前年秋季に畝を仮造成し、翌春に畝を立て3月中旬に定植することで、初夏どりキャベツの栽培が安定する。また、マルチ被覆を併用し3月上旬に定植することで、慣行秋植え栽培と収穫時期が同じで収量性が高まる。

[キーワード]初夏どりキャベツ、畝、仮造成、土壌水分、マルチ被覆

[担当]富山農総セ・園研・野菜課
[代表連絡先]電話:0763-32-2259
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
富山県の初夏どりキャベツの作型は、秋植え(前年11月定植、5〜6月どり)、春植え(4月定植、6〜7月どり)がある。しかし、秋植えは、多雪年に腐敗しやすく暖冬年には抽苔の危険を伴うことから、また、春植えは4月中下旬に定植となることから収穫が梅雨期と重なり作柄が不安定となりやすい。そこで、これらの初夏どりキャベツ生産における問題点を解消し、安定栽培につながる新しい生産技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 前年秋季に幅160cmの畝を仮造成し、同時に基幹排水路を設置し排水対策を行う。翌春に仮造成した畝を崩さないように成型ロータリを用いて畝立てする。畝を仮造成しない対照に比較して土壌の孔隙率が高くなることから、固相率、液相率は低く、気相率は高くなる(表1)。
2. 前年秋季に畝を仮造成後3月中旬に畝立てしキャベツ(品種「中早生2号」)を定植した場合には、収穫は慣行の秋植えと春植え栽培のほぼ中間の6月中旬となり、収穫時の結球重がやや大きくなる(表2)。また、3月上旬に畝立てと同時に黒マルチを被覆して定植した場合には、収穫は慣行の秋植え栽培と同じ梅雨前の5月下旬になり、欠株がなく、結球重がやや大きくなることから収量性が高まる(表3)。
3. 現地の使用品種に合せた実証試験では、6月10日収穫で10a当り4.7〜5tの商品収量となることから実用性が高い(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 一連の作業には、逆転ロータリ付きの耕うん同時畝立て作業機(中央農業総合研究センター北陸研究センター開発、H19、H20関連成果情報参照)を用いる。
2. 前年秋季の畝仮造成が10月と早い場合、翌年春に部分的に雑草が繁茂することがある。その場合は、除草剤を散布して雑草を枯らしてから作業する。
3. 基肥は畝立て時に施す。マルチを被覆する栽培では、緩効性窒素肥料(20日タイプ)を利用することで全量基肥栽培が可能で追肥を省略することができる。10a当り施肥量はN-30、P2O5-23、K2O-21kg程度とする。
4. マルチ資材には黒色のポリまたは生分解性フイルム(幅95cm、厚さ0.02mm以上)を用い、畝上面に被覆すると作業性が良い。
5. キャベツの播種は定植の約55日前とし、128穴のセルトレイ等を用いて育苗する。定植は条間50cm、株間35cmの2条植えとし、10a当り栽植密度は3,500株程度とする。

[具体的データ]
表1 前年秋季の畝仮造成による土壌物理性の向上
表2 前年秋季の畝仮造成と慣行作型の収穫日及び収量比較(普通栽培、2006〜2007年)
表3 前年秋季の畝仮造成及びマルチ被覆の効果(マルチ栽培、2007〜2008年)
表4 前年秋季の畝仮造成及びマルチ被覆の現地実証(マルチ栽培、2007〜2008年)
[その他]
研究課題名:北陸特有の環境条件に即した野菜安定生産技術の開発
予算区分:実用技術
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:北田幹夫、沢田耕一、布目光勇

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