台風や集中豪雨によって生じるニンジン湿害の軽減技術


[要約]
湿害に強く可販収量の高い秋冬どりニンジン品種は「陽州五寸」、「向陽二号」、「はまべに五寸」、「愛紅」である。また、湿害の軽減には3日以内に湛水を解消し地下水位を20cm以下にすることが有効である。

[キーワード]集中豪雨、ニンジン、湿害、品種比較、地下水位

[担当]千葉農林総研・生産技術部・野菜研究室、北総園芸研究所・畑作園芸研究室
[代表連絡先]電話:043-291-0151
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
平成16年に、関東地域を中心とした露地野菜産地において台風や集中豪雨による大きな被害が発生した。千葉県の主要なニンジン産地でも冠水した圃場では腐敗やしみ腐病などの病害が発生し、大幅な減収となった。そこで、大量降雨による湿害を軽減するために、湿害に強くかつ可販収量の多い品種を選定し、深さ60cm、直径30cmの塩化ビニル管をポットにしてニンジンに湿害を生じる地下水位と湛水期間を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 過剰灌水によって、「はまべに五寸」、「ベーターリッチ」以外の品種は可販収量が低下し、全供試品種で、尻詰まりが悪くなり、しみ腐病、裂根が増加する。湿害に強く可販収量が維持できる品種は、「陽州五寸」、「向陽二号」、「はまべに五寸」、「愛紅」である(表1)。「陽州五寸」、「向陽二号」、「はまべに五寸」は湿害による収量低下程度が小さく、湿害による病障害の発生も少ない。「愛紅」は湿害による収量低下が認められるものの、可販収量が高く、湿害による病障害の発生程度が低い。「ベーターリッチ」は収量が低く、病障害の発生程度が高い。
2. 14日間の地下水位の上昇に伴いニンジンの地下部は一部が腐敗する(表2)。しかし、地下水位の上昇が20cm以下にとどまる場合では腐敗は認められない。また、湛水期間が5日以上になると地下部に腐敗が認められる。湛水3日間では腐敗は認められない。これらから3日以内に湛水を解消するとともに地下水位を20cm以下にすることで降雨による湿害を回避することが可能である。

[成果の活用面・留意点]
1. 本成果は、黒ボク土圃場、黒ボク土を充填したポットにおける結果である。

[具体的データ]
表1 過剰灌水処理した秋冬どりニンジンの可販収量及び病障害の発生と品種の耐湿性判定

表2 ポット試験における一時的な地下水位の上昇および異なる湛水期間が収穫時のニンジン地下部に及ぼす影響
[その他]
研究課題名:降雨リスクを軽減する栽培技術の確立
予算区分:高度化
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:草川知行、中村耕士

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