初夏どり根深ネギ安定栽培のための「羽緑一本太」を用いたセル育苗技術


[要約]
育苗時のセルの容量を変えると苗の大きさが変わり、定植後の生育及び抽苔に影響する。容積が21mlのセルを用いて9月に播種した「羽緑一本太」は、定植時の葉鞘径が4〜5mmとなり、4月上旬に定植すると抽苔がほとんどなく、7月に3t/10a程度の収量が得られる。

[キーワード]ネギ、セル育苗、セル容量、抽苔、羽緑一本太

[担当]富山農総セ・園研・野菜課
[代表連絡先]電話:0763-32-2259
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]術・参考

[背景・ねらい]
本県の初夏に収穫されるネギは晩抽性品種を用い、9月中旬に播種して12月または4月上旬に定植をする作型である。しかし、暖冬などで冬期間の生育が進み過ぎ不時抽苔の問題が発生している。また、7月までに十分な生育量を確保するのは、冬〜春期の播種では不可能である。そこで、近年県内で普及しつつある晩抽性の一本ネギ品種「羽緑一本太」を用い、セル容量の違いによる定植時の苗質が抽苔や収量にどのように影響するかを解明し、初夏どり根深ネギの安定栽培技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 9月中旬は種、4月上旬定植の作型では、育苗時のセルの容積が大きいほど葉鞘径は大きくなる(図1)。一方、抽苔率はセルの容積が大きいほど高く、晩抽性の「羽緑一本太」では4〜21ml/穴でほとんどなく、50ml/穴で100%となる。これに対して、晩抽性の低い「長宝」では全体的に抽苔率が高く21ml/穴で50%となる(図2)。
2. セル容積が4〜21mlの範囲で育苗した「羽緑一本太」は、容積が大きいほど収穫時の草丈、葉鞘長、葉鞘径、一株重が大きくなるので可販収量が多くなる(表1)。なお、50mlでは抽苔率が100%となるため商品にならない。
3. 以上のことから容積が21mlのセル(128穴のセルトレイ)を用いて1粒/穴播種とし、生育を制御するため地面から浮かせて育苗した「羽緑一本太」は定植時の葉鞘径が4〜5mmとなり、4月上旬に定植すると抽苔率が低く、十分な生育量を確保できることから7月に3t/10a程度の収量が得られる。

[成果の活用面・留意点]
1. 「羽緑一本太」を用いた根深ネギの初夏どり(7月収穫)の作型に活用できる。
2. 育苗期は、無加温ビニールハウスで管理する。培土は市販のネギ専用培土(N-P2O5-K2O =0.5-0.1-1.3(g/l))を用い、細粒型被覆燐加安100日タイプを7g/l(N-P2O5-K2O =0.84-0.7-0.77(g/l))混和する。
3. 定植時の栽植密度は、42株/m2程度とする。

[具体的データ]
図1 育苗時におけるセルの容量と葉鞘径の関係
図2 セルの容量及び品種の違いと抽苔率の関係
表1 育苗時のセルの容量と収量等の関係
[その他]
研究課題名:特産白ネギの高品質周年栽培技術の確立 (初夏どり一本ネギの作型開発)
予算区分:県単
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:藤井均、北田幹夫

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