アスパラガス廃棄根株のすき込みによるキタネグサレセンチュウ密度低減効果


[要約]
キタネグサレセンチュウ汚染圃場に、アスパラガス伏せ込み促成栽培後の廃棄根株を5.5〜11kg/m2すき込むと、キタネグサレセンチュウ密度が低下し、すき込み後4ヶ月以降にレタスを作付けすると生育が良くなり、収量が増加する。

[キーワード]アスパラガス、伏せ込み促成栽培、耕種的防除、アレロパシー、抗線虫作用

[担当]野菜茶研・業務用野菜研究チーム
[代表連絡先]電話:029-838-8529
[区分]野菜茶業・野菜栽培生理、関東東海北陸農業・野菜、共通基盤・病害虫
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
アスパラガスの伏せ込み促成栽培では、株の養成栽培後に収穫を数ヶ月間行って終了するため、根株残さ(約1.8kg/m2)が毎年発生し、栽培面積の拡大に伴いその処理が問題となっている。一方、アスパラガス根中には抗線虫作用を持つ物質や植物の生育を抑制するアレロパシー物質が含まれていることが報告されている。アスパラガス廃棄根株のすき込みによるキタネグサレセンチュウ密度の低減効果とレタス栽培における線虫害の防除効果を明らかにして、アスパラガス伏せ込み促成栽培とレタス栽培が混在する地域での廃棄物根株を有効活用した新たな耕種的防除手段の可能性を示す。

[成果の内容・特徴]
1. キタネグサレセンチュウ汚染圃場に、4月下旬から5月上旬に掘り上げたアスパラガスの伏せ込み促成栽培後の廃棄根株を、15cm程度に裁断して5.5〜11 kg/m2すき込むと、すき込み後2ヵ月程度でキタネグサレセンチュウ密度が無処理区に比べ低下し、線虫密度の低い状態が9月上旬まで維持される(図1)。
2. 圃場試験の11 kg/m2すき込み区と無処理区の土壌を用いて、レタス催芽種子によるアレロパシー検定を行うと、すき込み4ヶ月後以降(9月上旬)は幼根への伸長抑制が認められない(図2)。
3. すき込み4ヶ月後の9月上旬に定植する秋レタスの収穫時の地上部重・結球重は、定植時にキタネグサレセンチュウ密度の高い無処理区に比べ、密度の低いすき込み区で大きい(図3)。なお、すき込み後の土壌中の全窒素割合の増加はほとんどみとめられない(データ省略)。9月上旬からレタスを栽培した圃場に、翌春、再度レタスを連作する場合、前年春に廃棄根株を5.5kg/m2すき込んだ区では、定植時のキタネグサレセンチュウ密度および収穫時の地上部重・結球重が無処理区と同等になる。しかし、前年に11 kg/m2すき込んだ区では、無処理区に比べ定植時のキタネグサレセンチュウ密度がやや低く、収穫時の地上部重・結球重が大きい(図1)。

[成果の活用面・留意点]
1. すき込み直後はアレロパシー物質の圃場中への残存が予想されるため、後作の作付け時期には注意する。また、アレロパシー物質の残存はすき込み量に比例すると考えられ、11 kg/m2を超えるすき込み量に対する試験結果はないので、過剰なすき込み後の作付けには注意が必要である。

[具体的データ]
図1 すき込み圃場でキタネグサレセンチュウ密度推移
図2 すき込み圃場土壌でのレタス催芽種子根長の無処理に対する伸長割合 図3 すき込み圃場におけるレタス収量調査結果
[その他]
研究課題名:キャベツ、ねぎ、レタス等の業務用需要に対応する低コスト・安定生産技術の開発
中課題整理番号:211h
予算区分:基盤
研究期間:2004〜2009年度
研究担当者:浦上敦子、東尾久雄、徳田進一、村上健二、國久美由紀、相澤証子
発表論文等:浦上ら(2009)日線誌、39 (1):23-30

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