コマツナ栽培に適した近紫外線除去フィルム


[要約]
360nm以下の波長を除去する近紫外線除去フィルムは、従来の380nm以下を除去するフィルムと比較して、ほぼ同等の害虫防除機能を有し、コマツナの生育の軟弱化を軽減することができる。

[キーワード]近紫外線除去フィルム、ハウス、コマツナ、害虫防除

[担当]東京農総研・野菜研究チーム
[代表連絡先]電話:042-528-0505
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
従来の380nm以下の波長を除去するハウス用近紫外線除去フィルムは害虫防除機能を有するが、コマツナの栽培に用いると胚軸や主茎の徒長、株重や葉色の低下など、生育を軟弱にする問題がある。そこで、近紫外線波長の除去範囲を異にするフィルムを比較検討し、コマツナの栽培に適した近紫外線除去フィルムを明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 近紫外線の除去範囲の広いフィルムほど胚軸が徒長し草姿が乱れる傾向にある(図1)。UVA360では、NORMALおよびUVA350と同様に、UVA380(市販の近紫外線除去フィルム)よりも徒長の程度が小さく、草姿の乱れが少ない。
2. ハモグリバエ類による葉の吸汁痕や潜孔痕、アザミウマ類による葉の萎縮やシルバーリングなどの被害は、近紫外線除去範囲の狭いフィルムで大きい傾向にある。UVA360では被害が小さく、UVA380と同程度の害虫防除機能が認められる(図3)。
3. 湿潤土壌では、UVA380でコマツナの胚軸・主茎が長くなる一方、葉数が少なくなり、軟弱化が顕著になる(表1)。UVA360では、UVA380とNORMALのほぼ中位の数値になり、軟弱化の程度はUVA380よりも小さい。葉色はUVA380よりもUVA360で濃い傾向にある。
4. 生育期に灌水を制限した乾燥土壌では、胚軸は播種直後の灌水の影響を受けるため、UVA380、360で徒長傾向にあるものの、主茎の徒長や葉数の減少はみられず、軟弱化しにくい(表1)。
5. コマツナの根重および葉柄内硝酸濃度は、UVA380とNORMALとで異なるが、UVA360では両者の間となる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本成果における供試フィルムはいずれも厚さ0.15mmのPO系フィルムで、可視光線の透過率は同等である。また、ハウス開閉部には目合い0.8mmの防虫ネットを展張している。
2. UVA360の引張強度、無滴性、防塵性、保温性はUVA380と同等である。
3. UVA360の市販化は未定である。

[具体的データ]
図1 供試フィルムの紫外線分光透過特性 図2 被覆フィルムの種類がコマツナの草姿に及ぼす影響
図3 被覆フィルムの種類が収穫物の虫害の程度に及ぼす影響
表1 土壌条件および被覆フィルムの被覆フィルムの種類がコマツナの草姿に及ぼす影響
[その他]
研究課題名:新資材等を活用した都市軟弱野菜の省農薬・高品質生産技術の開発
予算区分:実用技術
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:野口貴、荒木俊光、海保富士男、沼尻勝人、市村拓野(MKVドリーム梶j、須賀睦夫(MKVドリーム梶j

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