アスパラガスの収穫時期および品種の違いが収穫後の品質に及ぼす影響


[要約]
ルチンおよびアスコルビン酸含量は、いずれの品種も春どりが最も高く、新鮮重当たりの水分含量は収穫時期による影響が小さい。切断応力は夏秋どりの温度下降期が大きく、保存すると収穫直後に比べて大きくなり、硬化するが、水分含量とは関係がない。

[キーワード]アスコルビン酸含量、アスパラガス、ルチン含量、切断応力、水分含量

[担当]長野野菜花き試・野菜部
[代表連絡先]電話:026-278-6848
[区分]関東東海北陸農業・野菜、関東東海北陸農業・流通加工
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
アスパラガスは、収穫時期や作型、天候などにより品質の変化が大きい。また、収穫後そのままの状態では急速に水分を失い、品質が劣化する。さらに保存中に硬化して、調理時に利用できない部分が多くなり、廃棄されることもあることから、鮮度保持技術の向上が望まれている。そこで、アスパラガスの商品価値を高めるため、収穫時期および品種の違いによる収穫後の品質変化を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. ルチンおよびアスコルビン酸含量は、いずれの品種も春どりが最も高く、保存すると夏秋どり最盛期のアスコルビン酸含量を除き、収穫直後に比べて同等かやや減少する品種が多い(表1)。
2. ムラサキアスパラガス「パープルパッション」の収穫直後のルチン含量は、グリーンアスパラガスの各品種に比べて春どりでは低く、夏秋どりでは高い(表1)。
3. Brix値および新鮮重当たりの水分含量は、ルチン含量やアスコルビン酸含量に比べて、収穫時期による差が小さい(表1)。
4. 水分含量は、保存による差が小さいが、「ゼンユウヨーデル」および「ガインリム」の夏秋どり最盛期の水分含量は、保存すると減少する(表1)。
5. 若茎の切断応力(硬さ)は、夏秋どりの温度下降期が大きく、保存すると収穫直後に比べて大きくなり、硬化するが(図1)、水分含量とは関係がない(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. アスパラガスは、品種や規格、測定部位により、成分含量や切断応力が変わる。一般に、ルチン含量やアスコルビン酸含量は、S級(長野県規格の1茎重7〜9g)やM級(同10〜14g)などの細めの規格のほうが高めである。
2. 輸入アスパラガスに対して国産アスパラガスの商品価値を高めるために、栽培管理だけでなく、とくに夏秋どりの収穫後の鮮度保持に努める。

[具体的データ]
表1 露地長期どり栽培におけるおもな品種のルチン含量、アスコルビン酸含量、Brix値および水分含量の季節間差異および保存の影響
図1 露地長期どり栽培における切断応力の季節間差異および保存の影響
[その他]
研究課題名:野菜類の含有成分分析と品質評価・保持技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2008年度
研究担当者:元木悟、酒井浩晃、重盛勲

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