荒茶製造工程における細菌数低減技術


[要約]
一日の製造終了後、蒸葉冷却機を洗浄して茶葉残さを除去した後、熱風乾燥し、葉打ち機及び粗揉機は茶渋を除去した後、製造開始前に設定温度80℃・基準風量の熱風で60分以上空運転することで荒茶の細菌数を一定レベル以下に維持することが可能である。

[キーワード]チャ、荒茶、製茶工程、衛生管理

[担当]静岡県農技研(茶研セ)・新商品開発(加工)
[代表連絡先]電話:0548-27-2311
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
荒茶加工工程における微生物について、菌相の変化や水分活性、細菌数の経時変化等を調査した結果、荒茶の一般生菌数及び大腸菌群数の低減には蒸葉冷却工程から揉捻工程までの間に起こる微生物の増殖を抑制することが重要であることが確認された。そこで、大腸菌群を指標とし、各工程における菌数低減化技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 蒸葉冷却機を水洗浄して茶葉残さを除去し、熱風で乾燥させた場合、冷却工程後の茶葉中の大腸菌群数は無処理のラインと比較して102程度低下する(図1)。洗浄後熱風乾燥を行わない場合、細菌の増殖に十分な水分が残るため、洗浄の効果は見られない(データ省略)。熱風処理は機械の乾燥を目的に行うが、調査時のネット表面の温度は65℃以上である。
2. 製造開始前に粗揉機の庫内を熱風で処理(空運転)すると、底竹表面の細菌数を低減することができる。熱風温度を80℃、105℃及び120℃に設定し、底竹表面の茶温センサーの温度が耐熱性のない微生物を殺菌するのに有効な60℃以上になった時間から積算温度(温度×時間)を算出すると、底竹表面の大腸菌群をほぼ陰性とするためには3000℃・分以上の処理が必要である(図2)。基準風量で熱風温度設定が80℃の場合60分以上、105〜120℃の場合45分以上が目安である。
3. 県内の荒茶製造工場において実施した調査の結果から、蒸葉冷却機の水洗浄及び熱風による乾燥と、葉打・粗揉機の空運転による熱風殺菌はいずれか単独のみの処理では荒茶の大腸菌群数に差は見られず、蒸葉冷却機、葉打ち機、粗揉機のすべてを処理した場合のみ荒茶の細菌数を一定レベル以下に維持することが可能である(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本技術により荒茶中の大腸菌群及び耐熱性のない微生物の菌数低減が可能である。
2. 蒸葉冷却機は壁面やブラシに茶葉残さが残らないよう十分洗浄し、その後微生物が再び増殖しないようすぐに熱風で乾燥する必要がある。
3. 葉打ち機及び粗揉機の熱風殺菌は、安定した効果を得るために事前にヘラ等を用いて底竹に付着した茶渋を除去する必要がある。熱風温度の設定は底竹の素材等の耐熱性を考慮する。
4. 揉捻機及び搬送機上に茶葉残さが滞留もしくは付着した場合は、その日の製造終了時に必ず箒やヘラ等で除去する必要がある。
5. 本技術の効果は県内荒茶加工施設120K製茶ラインを用いて実証した。

[具体的データ]
図1 蒸葉冷却機の水洗浄及び熱風乾燥による大腸菌群数の変化
図2 粗揉機の熱風処理における積算温度と大腸菌群生存率 図3 茶葉中の大腸菌群の推移
[その他]
研究課題名:荒茶製造工程における制菌技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:宮地裕一郎、藤田理英子(三井農林(株))、餅田薫(三井農林(株))、後藤慶一(三井農林(株))
発表論文等:特開2009-278946荒茶の製造方法および製造機

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