飛騨・美濃伝統野菜「あきしまささげ」に含まれる機能性成分


[要約]
岐阜県地域特産野菜「あきしまささげ」は主要ポリフェノールとしてアントシアニン系色素およびルチンを含み、淡紫莢より濃紫莢にて含量が高い。また、これらの成分は300秒間の湯浴処理を行っても80%以上が残存する。

[キーワード]特産野菜、あきしまささげ、HPLC、アントシアニン、ルチン

[担当]岐阜生工研・植物機能研究部
[代表連絡先]電話:0574-25-3803
[区分]関東東海北陸農業・流通加工
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
岐阜県では、農業を活用した地域振興および農業生産拡大の一環として『飛騨・美濃伝統野菜』事業を実施している。これは生産量が少ない、あるいは生産地域が限られているが、県下で古くから栽培され地域に根ざしている地域特産野菜計25品目を一つの『ぎふブランド』にまとめ、消費者に広くPRするとともに生産および販路の拡大を目指すものである。『飛騨・美濃伝統野菜』の一つで、いんげんまめの一種である「あきしまささげ」は、その名前の通り秋の気温の低下とともに莢の表面に紫色の縞模様が現れるが、湯通しすると紫縞は消えて鮮やかな緑色に変化するという特性を持つ。この「あきしまささげ」に含まれる主要ポリフェノールの種類および含量を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 「あきしまささげ」の莢表面の紫縞はアントシアニン系色素であり、濃紫莢は淡紫莢の約1.8倍量のアントシアニン系色素を含有している(表1)。
2. 「あきしまささげ」は主要ポリフェノールとしてルチンを含有しており(図1)、濃紫莢は淡紫莢の約1.5倍量のルチンを含有している(表1)。
3. 「あきしまささげ」濃紫莢では、湯浴処理によりアントシアニン系色素およびルチンともに減少するが、その減少量は少なく、300秒間湯浴処理を実施しても両者ともに80%以上残存する(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 機能性成分含量はサンプルの採取時期や個体(品種)によって異なり、また、流通過程を経るに従い一般的に減少するものと考える必要がある。

[具体的データ]
表1 アントシアニン系色素含量分析およびルチン含量分析結果


 図2 湯浴処理がアントシアニン系色素含量に与える影響 図3 湯浴処理がルチン含量に与える影響
注)図2、3ともに、グラフ下部数値は0秒時の色素量を100%とした場合の残存比率を示す
[その他]
研究課題名:『飛騨・美濃伝統野菜』における新規機能性成分の探索
予算区分:県単
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:小枝剛、岡隆史(岐阜保環研)
発表論文等:小枝(2009)園芸学研究.8(2):599

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