リバースザイモグラフィ−による高感度プロテアーゼ阻害因子の網羅的同定方法


[要約]
二次元電気泳動を行ったタンパク質試料から、リバースザイモグラフィーにてプロテアーゼ阻害活性を高感度に検出し、質量分析装置を用いたタンパク質同定によって微量に含まれる新規プロテアーゼ阻害因子を同定できる。

[キーワード]二次元電気泳動、リバースザイモグラフィー、質量分析装置、プロテアーゼ阻害因子

[担当]新潟農研・食研セ・食品工学科
[代表連絡先]電話:0256-52-3267
[区分]関東東海北陸農業・流通加工
[分類]研究・普及

[背景・ねらい]
歯周病菌や植物病原菌のタンパク質分解酵素であるシステインプロテアーゼは、菌の生育や病原性の発現に必須な酵素である。このプロテアーゼ活性を抑制するシステインプロテアーゼ阻害因子は、生体内で恒常性の維持や感染防御で重要な役割を果たしており、微生物制御を目的とした生物農薬や新規機能性食品素材としての応用が期待される。しかしながらタンパク質性の当該阻害因子は一般的に極めて微量にしか存在しないため、これらの同定は困難を極めている。そこで、リバースザイモグラフィ−を利用して高感度でタンパク質性の新規システインプロテアーゼ阻害因子を網羅的に検出し、成分を同定する方法を提供する。

[成果の内容・特徴]
1. タンパク質試料を二次元電気泳動にて分離し、タンパク質を染色する(図1)。それと並行して、標的とするシステインプロテアーゼ溶液中に電気泳動したゲルを浸した後、基質を染みこませた膜と貼り合わせてインキュベートし、活性染色を行う(リバースザイモグラフィー、図2)。活性染色後に基質の分解を抑制したスポットをプロテアーゼ阻害因子として検出できる。
2. 検出したスポットをゲルから切り出し、質量分析計とデータベース検索によってタンパク質を同定できる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本技術の実施には、タンパク質電気泳動および質量分析計を使用できる技術が必要である。
2. 用いる酵素や基質等を違えることにより、システインプロテアーゼ以外のプロテアーゼ阻害因子やプロテアーゼ自体の検出にも広く使用できる。
3. 質量分析計によるタンパク質の同定は、ゲノム配列データベースに基づいた同定方法であるため、配列情報のないタンパク質については同定できない。

[具体的データ]
図1 タンパク質染色(SYPRO Ruby) 図2 リバースザイモグラフィー
測定条件例
・タンパク質染色:
 精白米タンパク質を二次元電気泳動にて分離し、活性染色後のゲルをSYPRO Rubyにて染色、落射青色LED460nmで撮影。
・リバースザイモグラフィー:
 SDS除去したゲルを歯周病菌システインプロテアーゼ 0.2mg/ml溶液中(100mM HEPES/ 150mM NaCl/ 5mM CaCl2/ 0.05%CHAPS(pH7.5)) で30min(4℃)振とう後、水を切り、100mM Z-Phe-Arg-MCAを浸漬したセルロースアセテート膜を重ね、37℃・60min反応。遊離したAMC をUV365nmで検出。
表1 質量分析計によるタンパク質の同定
[その他]
研究課題名:イネシステインプロテアーゼ阻害因子を機能性成分とする食品素材の研究・開発
予算区分:県単特別
研究期間:2005〜2008年度
研究担当者:太養寺真弓、大坪貞視、谷口正之(新潟大工)、斉藤英一(新潟工大工)
発表論文等:Saitoh E et al. (2007) Anal. Chem. Insights 2: 51-59

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