水稲「なすひかり」の全量基肥施肥による疎植栽培法


[要約]
水稲「なすひかり」において、全量基肥肥料(速効性肥料:シグモイド型60日タイプ被覆尿素肥料=4:3)を用いて、栽植密度を15.2株〜11.1株/m2とした疎植栽培により、慣行栽培と同程度以上の収量を確保できる。

[キーワード]なすひかり、疎植、全量基肥、省力、低コスト

[担当]栃木農試・作物技術部作物研究室
[代表連絡先]電話:028-665-7076
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
近年、良食味米、業務用米、家庭用低価格米等多様化している消費者・実需者ニーズに対応するため、水稲生産現場では、省力・低コストで、安定して収量・品質・食味を確保できる栽培技術が必要とされている。疎植栽培は苗箱数の削減により育苗コストを低減でき、また、育苗管理、苗運搬作業等の省力化が図れる技術であるが、収量や品質が不安定になりやすい。そこで、栃木県育成の良食味品種「なすひかり」で、追肥作業を省力化できる全量基肥施肥と疎植を組み合わせ、高品質・安定生産のための栽培法を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. シグモイド型60日タイプ被覆尿素肥料は、茎数の多くなる移植後30日ごろから窒素の溶出が始まり、出穂前20日ごろに単位日数当たりの溶出量は最大になる。生育前半の茎数は栽植密度が低いほど少ないが、出穂期には疎植栽培の穂数は慣行栽培に近づく。(図1)。
2. 稈長は、全量基肥による疎植栽培で慣行栽培より長くなるが、倒伏の増加程度は小さい(表2)。
3. 全量基肥による疎植栽培では、慣行栽培に比べ登熟歩合が向上する傾向があり、慣行栽培と同程度以上の玄米重を確保できる。外観品質は慣行栽培に比べ向上する(表2)。
4. 全量基肥による疎植栽培は、10a当たりの育苗資材及び肥料にかかるコストを栽植密度15.2株/m2の場合約2,300円、同11.1株/m2の場合約3,600円削減でき、試算所得は慣行栽培に比べ向上する(図表省略)。

[成果の活用面・留意点]
1. 適応品種はなすひかりである。
2. 厚層多腐植質多湿黒ボク土における全層施肥、5月上旬移植での結果である。
3. 一般的な田植機は13.9株/m2程度までの栽植密度には対応できるが、さらに疎植にする場合は田植機のギアの交換もしくは疎植用田植機が必要である。

[具体的データ]
表1 栽植密度及び施肥窒素量

図1 シグモイド型60日タイプ被覆尿素肥料の窒素溶出量及び茎数の推移

表2 収量構成要素及び品質(2007〜2008年)
[その他]
研究課題名:業務用ニーズに対応した良質低コスト米安定生産技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:五月女恭子、青沼伸一、大谷和彦、飯田貴子、塚原俊明、齋光延

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