製パン性・耐病性に優れる小麦「ゆめかおり」の奨励(認定)品種採用


[要約]
硬質小麦「ゆめかおり」は製パン性が優れ、縞萎縮病等の諸病害にも強いことから、奨励(認定)品種として採用し、「農林61号」の一部に替えて普及を図る。

[キーワード]小麦、奨励品種、硬質、製パン性、耐病性

[担当]栃木農試・作物技術部・作物品種開発研究室
[代表連絡先]電話:028-665-7087
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
栃木県では、一部地域で高蛋白質のため「農林61号」の評価が低くなる傾向がある。また、「農林61号」や醤油醸造用小麦「タマイズミ」で縞萎縮病が年々深刻化してきている。「ゆめかおり」(平成21年6月、長野県育成)は、これら栽培上の欠点を補い、グルテンの質が格段に優れ、パン・餃子等に新たな需要拡大が見込まれることから、奨励品種(認定)として採用し、「農林61号」の一部に替えて本県麦の生産安定拡大を図る。

[成果の内容・特徴]
 「ゆめかおり」(組合せ:西海180号/KS831957)は「農林61号」と比較して、次のような特徴があり、栃木県奨励品種(認定)として採用した。
1. 出穂期は2日早く、成熟期は同程度。稈長はやや長いが、耐倒伏性は優る。穂長は短かく、穂数はやや多い(表1)。
2. 収量は標準栽培「農林61号」と比べ11%多収。千粒重は重い(表1)。
3. 「農林61号」や「タマイズミ」と比べ凍霜害(幼穂凍死)・穂発芽・赤かび病にも強い(表1)。縞萎縮病・赤さび病に強い(育成地特性検定データ省略)。
4. 原麦粗蛋白質含量は「タマイズミ」より1.3%高い(表1)。ミリングスコアは標準栽培「農林61号」と比べ7ポイント高く、「1CW」と同程度。ファリノグラフ生地吸水率・VVは「1CW」より高く、エキソテンソグラフ面積A・伸張度E・伸張抵抗R共に「1CW」より高い(表2)。 遺伝的に生地を強めるグルテニンサブユニット5+10を持ち、生地を弱めるGlu-A1c遺伝子を持たないことから「農林61号」よりパン加工上のグルテンの質が格段に優れる(育成地データ省略)。
5. 製パン試験評価では「1CW」と比べ、作業性はやや劣るが総合評価では「農林61号」より18ポイント高く、「1CW」と6ポイントの差で、『「1CW」の顧客でも違和感なく使える』とのコメントを得ている(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 栃木県中北部の麦栽培地帯に普及を図る。普及見込み面積は1,000haである。
2. 原麦粗蛋白質含量を12%以上にするために、必要に応じて穂揃期追肥を行う。

[具体的データ]
表1 奨励品種決定基本
表2 製粉協会による加工品質分析評価 表3 県内実需による加工品質分析評価
[その他]
研究課題名:麦類奨励品種決定調査
予算区分:県単
研究期間:2005〜2009年度
研究担当者:湯澤正明

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