しわ粒が少なく大粒良質で高蛋白質なだいず新品種候補系統「東山213号」


[要約]
だいず「東山213号」はしわ粒の発生が少なく大粒・良質で、蛋白質含有率が高く、耐倒伏性を有する。「エンレイ」に比べダイズモザイク病および紫斑病抵抗性が強いため、褐斑粒や紫斑粒の発生が少ない。

[キーワード]ダイズ、ダイズモザイク病抵抗性、育種、しわ粒、蛋白質含有率

[担当]長野野花試・畑作育種部
[代表連絡先]電話:0263-52-1148
[区分]作物、関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
北陸地域の主力品種である「エンレイ」は、豆腐・煮豆用原料として実需者から高い評価を得ているが、近年、しわ粒(ちりめんじわ)の多発と小粒化による品質低下および収量低下が大きな問題になっている。このため、これら問題を軽減または解消でき、「エンレイ」と置き替えが可能な高品質・多収の品種の導入が強く望まれている。そこで、しわ粒の発生が少なく、大粒で高蛋白質な優良品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 「東山213号」は、1996年に長野県中信農業試験場(現長野県野菜花き試験場・農林水産省大豆育種指定試験地)において、ダイズモザイクウイルス抵抗性で大粒の「東山181号」を母、「東山系T613」(後の「東山188号」)を父とした人工交配から育成した系統である。
2. 成熟期は「エンレイ」より5日遅く、「タチナガハ」より3日早い中生の晩で、収量は育成地では「エンレイ」よりやや多収、普及見込みの富山県では「エンレイ」と同程度である(表1)。
3. 「エンレイ」より耐倒伏性が優れ、最下着莢高が高く、「タチナガハ」に比べ青立ちの発生が少ない(表1写真1)。
4. しわ粒(ちりめんじわ)の発生が「エンレイ」に比べて少なく、「エンレイ」より大きい大粒で、外観品質に優れる(表1写真2)。ダイズモザイク病に強く、紫斑病にやや強いため(表2)、褐斑粒および紫斑粒の発生も少ない(表1)。
5. 子実の蛋白質含有率が高いため豆腐原料に適しているほか、煮豆、味噌に適する(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 栽培適地は東北南部、関東北部、北陸、東山地域である。富山県で奨励品種として採用し、作付面積の9割を占める「エンレイ」の一部に置き換えて普及する予定である。普及見込み面積は500ha(2014年度)である。
2. ダイズシストセンチュウと黒根腐病(立枯性病害)に対する抵抗性がないので連作を避け、発生したことのある圃場へは作付けしない。

[具体的データ]
表1 育成地および普及見込み地帯(富山県)における試験成績(平成2006〜2009年の平均値)
写真1 東山213号の草姿 表2 主要特性

写真2 東山213号の子実
[その他]
研究課題名:寒冷地南部及び温暖地北部向け高品質、病虫害複合抵抗性大豆の育成
予算区分:指定試験
研究期間:1996〜2009年度
研究担当者:高橋浩司、坂元秀彦、関功介、矢ケ崎和弘、山田直弘、谷口岳志、袖山栄次、高松光生、高橋信夫、元木悟、牛山智彦、重盛勲、田中進久、西牧清

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