製パン性、耐病性に優れる硬質小麦「ゆめかおり」の奨励(認定)品種採用


[要約]
硬質小麦「ゆめかおり(東山42号)」は製パン性が優れ、コムギ縞萎縮病・赤さび病などの諸病害に強く、耐倒伏性が優れるため認定品種に採用し、現地試験及び製粉加工適性の評価を実施して、普及を図る。

[キーワード]硬質小麦、製パン性、耐病性

[担当]長野県農業試験場・作物部、育種部
[代表連絡先]電話:026-246-9783
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
本県では平成15年より、パン用硬質秋播型小麦品種として「ユメアサヒ」を認定品種に採用している。「ユメアサヒ」は長稈でやや倒伏しやすく、充分な施肥によるタンパク確保が難しいため、普及が緩慢であり実需の要望する数量が確保できず、早急な増産と高品質化が強く求められている。また、県内での主力な品種は、今後拡大が懸念されるコムギ縞萎縮病や赤さび病に対して、抵抗性品種への転換が緊急な課題となっている。このため、安定生産が可能で諸病害に耐病性を有する「ゆめかおり(東山42号)」を奨励(認定)品種に採用し、県内のパン用硬質小麦の生産振興を図る。

[成果の内容・特徴]
「ゆめかおり(東山42号)」を認定品種とする。「ゆめかおり」は「ユメアサヒ」に  比べ、以下の特徴がある。
1. 播性は同等のII、出穂期・成熟期は同程度〜やや早い中生種である(表1)。
2. 稈長・穂数は同程度で、耐倒伏性は優れる(表1)。
3. 収量は同等からやや多収で、容積重は一部の地域を除いて大きく、千粒重が大きく 大粒で、外観品質も同等か優れる(表1)。
4. 耐寒性・耐雪性・耐凍上性は同程度で、赤かび抵抗性は強く、縞萎縮病抵抗性も  い。穂発芽性は同程度で、赤さび病抵抗性は強い(表2)。
5. ブラベンダー製粉の原粒タンパク質含有率と灰分は同程度で、製粉歩留はやや劣る。  色相はa*が低く明るい白色を呈する(表3)。
6. ビューラー製粉ではタンパク含量は高く製粉歩留は同等である(表3)。  ファリノグラフの吸水率、バロリメータバリュウが高く、エキステンソグラムでは伸  張抵抗が大きく、形状係数は同程度で生地物性は強い(表4)。
7. 製パン適性は外観・内相とも同等で吸水性評価と作業性評価が良好である(表4)
総合評価では1CWよりはやや低いが、ユメアサヒより優れる(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 普及地帯:標高700m以下の麦作地帯
2. 耐倒伏性は強いが、やや長稈であるので施肥量と施肥時期に留意する。
3. 実需者による(実用規模の)加工適性評価が不充分なため、当面ユメアサヒと比較しながら並行に栽培して普及を図る。

[具体的データ]
表1 生育および収量

表2 特性検定試験成績

表3 ブラベンダー小型テストミルによる製粉試験成績

表4 ビューラー製粉と製パン適性試験(官能評価)成績
[その他]
研究課題名:麦類奨励品種決定調査
予算区分:県単・国補
研究期間:2004〜2009年度
研究担当者:土屋学、酒井長雄、青木政晴、上原泰、前島秀和、細野哲

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