温暖地域における小麦跡移植栽培に適する稲発酵粗飼料用品種


[要約]
三重県での6月下旬小麦跡移植栽培において、「夢あおば」、「ホシアオバ」、「モミロマン」、「リーフスター」および「タチアオバ」は黄熟期の乾物重が大きく、稲発酵粗飼料用品種として適する。

[キーワード]稲発酵粗飼料、黄熟期、小麦跡移植栽培

[担当]三重農研・作物研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-6357
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
三重県において発酵粗飼料用稲は、その作付面積の多くが2年3作体系の中で小麦跡の水田転作作物として移植栽培されており、麦跡未利用耕地の活用を促進する観点からも、さらなる面積拡大が望まれている。
 飼料品質安定の観点から黄熟期での収穫が望まれているが、専用収穫機を用いた収穫作業では1日あたりの収穫面積が限られるため、既に広く普及する「はまさり」等の単一品種のみの作付では面積拡大との両立が困難である。
 そこで、 6月下旬移植栽培での稲発酵粗飼料用品種の特性を調査することにより、小麦跡移植栽培に適し、早晩性が異なる稲発酵粗飼料用品種を選定する。

[成果の内容・特徴]
1. 9月中旬に収穫できる「夢あおば」、9月下旬に収穫できる「ホシアオバ」、10月上旬に収穫できる「モミロマン」、10月中下旬に収穫できる「リーフスター」、「タチアオバ」は黄熟期乾物重が大きいため稲発酵粗飼料用品種として適している(表1)。特に「ホシアオバ」および「タチアオバ」は黄熟期乾物重が大きい。「夢あおば」および「モミロマン」は稈長が比較的短く、稈質も強いため耐倒伏性に優れる。
2. 「北陸飼209号」は9月上旬に収穫が可能であるが、黄熟期乾物重が小さく、また主食用品種の収穫時期と重なることから、小麦跡移植栽培での稲発酵粗飼料用品種としての利用には適さない(表1)。
3. 晩生の「はまさり」を栽培する地域に、極晩性の「タチアオバ」を導入することにより作業分散が可能となり、規模拡大が図れる等の経営メリットが大きい(図1)。
4. 6月下旬に移植される小麦跡移植栽培では、5月下旬の移植栽培と比較して、稈長が短くなり、穂数も減少することから収量は低下する傾向にある(表2)。「リーフスター」は「はまさり」と比較して減収程度が小さい。

[成果の活用面・留意点]
1. 小麦跡移植栽培で飼料米として利用する際には、9月中旬以降に出穂する品種では成熟しないことがある。
2. 「タチアオバ」の葉いもち抵抗性は「中」のため、いもち病の常発地での栽培は避ける。また、「モミロマン」、「リーフスター」はイネ縞葉枯病に対して「罹病性」であるため、イネ縞葉枯病の発生に留意する。
3. 「リーフスター」は移植時期が遅くなることで稈長が短くなり、倒伏のリスクが軽減される等、作業性が向上する。

[具体的データ]
表1 生育特性および収量関連特性

図1 「はまさり」栽培地域への「タチアオバ」の導入事例(農業法人M,津市,2008-2009)

表2 移植期が生育特性および収量に及ぼす影響
[その他]
研究課題名:小麦跡移植栽培における飼料イネ品種の選定
予算区分: 県単
研究期間:2008〜2009年
研究担当者:松井未来生、山川智大、西口茂*、乾清人*、川村淳也*(*畜産研究所)、前橋善浩**、川原田直也**、鈴木令央奈**(**中央農業改良普及センター)

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