貯蔵・温湯消毒後の水稲種子発芽率の予測方法


[要約]
水稲品種「コシヒカリ」、「キヌヒカリ」、「彩のかがやき」の備蓄に適した種子の判別方法を検討した結果、収穫・調製直後の11月における発芽勢と加齢処理後発芽率から、翌々年4月まで備蓄し、温湯消毒した場合の発芽率を推定できる予測式を作成した。

[キーワード]水稲種子、貯蔵、温湯消毒、発芽率

[担当]埼玉農総研水田研・育種担当
[代表連絡先]電話:048-521-5041
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
農産物の純度や生産履歴に対する社会的関心が高まっており、種子需要の増大が予測される。生産の基盤である種子を安定的に供給するためには、備蓄を前提とした種子供給システムの構築が急務の課題となっている。さらに、水稲種子の温湯消毒技術が普及するなか、備蓄種子に実施した場合の発芽への影響も懸念される。このため、温湯消毒による種子消毒を前提とした水稲種子の安定供給を目指し、備蓄に適した種子の判別方法を開発し、水稲種子の安定供給と信頼性の確保に寄与する。

[成果の内容・特徴]
1. 水稲種子を収穫した年の翌々年4月まで貯蔵した後、温湯消毒をした場合の発芽率を推定する予測式を作成した(表1)。
2. 推定値は、収穫した後、11月まで常温で保管した水稲種子の発芽勢(5日目の発芽率)と加齢処理後発芽率を説明変数とする重回帰式により求められる(表1
3. 冷蔵貯蔵の場合で決定係数 R2=0.680**、常温貯蔵の場合で R2=0.732**、の精度で予測が可能である(図2)。
4. 推定値と実測発芽率との標準誤差は冷蔵貯蔵の場合で2.80、常温貯蔵の場合で3.23である(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 品種は「コシヒカリ」、「キヌヒカリ」、「彩のかがやき」に適用できる。
2. 冷蔵貯蔵の条件は平均温度6.9度、平均湿度52.7%。常温貯蔵の条件は平均温度20.2度、平均湿度49.2%であった。
3. 温湯消毒の条件は60℃、15分間である。

[具体的データ]
表1 貯蔵・温湯消毒後の発芽率予測式
図1 17か月冷蔵貯蔵・温湯消毒後の発芽率と予測式による推定値との関係 図2 17か月常温貯蔵・温湯消毒後の発芽率と予測式による推定値との関係
図3 本技術の利用例
[その他]
研究課題名:水稲種子を安定備蓄するための管理技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:荒川誠、大岡直人、野田聡

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