温暖地に適した糯で多収の水稲新品種候補系統「関東糯243号」


[要約]
水稲「関東糯243号」は温暖地東部での出穂期が中生の早に属する糯種である。玄米収量が高く、関東以西において、米菓等加工用および飼料用米としての利用が期待できる。

[キーワード]イネ、多収、加工用、飼料用米、中生

[担当]作物研・低コスト稲育種研究チーム、稲マーカー育種研究チーム
[代表連絡先]電話:029-838-8536
[区分]作物、関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
米菓等加工用米の需要に対応するため、極多収で、耐倒伏性に優れ、低コスト栽培が可能な品種を育成する。また、糯品種作付地帯における飼料用米の生産を可能にするため、これまで利用されていない糯種の極多収品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 「関東糯243号」はインド型の糯多収系統「北陸糯181号」とインド型の多収品種「北陸193号」の交雑後代より育成された糯種の系統である。
2. 育成地における出穂期は「おどろきもち」と同程度の“中生の早”、成熟期は「日本晴」より遅い“晩生の早”熟期に属する(表1)。
3. 稈長は「おどろきもち」より長い。穂数は「おどろきもち」より少なく、草型は“極穂重型”である(表1)。
4. 精玄米重は、「おどろきもち」に対して16%、「日本晴」に対して33%多収である(表1)。
5. 収量構成要素は、「おどろきもち」と比較して、穂数がやや少ないが一穂籾数が多く、籾数/m2が多い。登熟歩合がやや低いが千粒重がやや重い(表2)。
6. 耐倒伏性は、「おどろきもち」並の“極強”である(表1)。
7. いもち病真性抵抗性遺伝子型は不明で、葉いもち・穂いもち圃場抵抗性も不明である。白葉枯病抵抗性は“中”である。縞葉枯病に“抵抗性”である。穂発芽性は“難”である(表1)。
8. 玄米の外観品質は、「おどろきもち」より劣る“中下”である(表1)。
9. 餅の食味は、「おどろきもち」より優る“中中”である(表1)。
10. 冷蔵後の餅の硬度は、「おどろきもち」と同程度である(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 玄米多収で餅の硬化が早いため、米菓等加工用および飼料用米として利用が期待できる。
2. いもち病真性抵抗性が不明であるので、病原菌のレースの変化に注意する。
3. 幼苗期の低温により退色がみられるため、育苗時の温度管理に留意する。また、寒冷地での栽培は避ける。
4. 種子の休眠性が強いので、催芽前の浸漬を十分に行う。
5. 直播栽培は可能だが、苗立ちが劣ることがあるので、落水出芽等栽培管理に留意する。

[具体的データ]
表1 「関東糯243号」の特性

表2 収量構成要素調査
[その他]
研究課題名:直播適性に優れ、実需者ニーズに対応した低コスト業務用水稲品種の育成
中課題整理番号:311a
予算区分:基盤、委託プロ(加工プロ4系)
研究期間:2001〜2009年度
研究担当者:太田久稔、春原嘉弘、根本博、安東郁男、加藤浩、井辺時雄、平林秀介、竹内善信、石井卓朗、前田英郎、常松浩史、佐藤宏之、出田収、平山正賢

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