てん茶園における石灰の過剰施用で見られる硝酸態窒素の溶脱増加


[要約]
多肥栽培が行われているてん茶園では、土壌pH矯正のための石灰を過剰に施用すると、土壌中のアンモニア態窒素が減少し、硝酸態窒素が増加するため、硝酸態窒素の溶脱量が増加する。

[キーワード]チャ、てん茶、土壌pH、石灰、アンモニア態窒素、硝酸態窒素

[担当]愛知農総試・東三河農業研究所・茶業グループ
[代表連絡先]電話:0532-61-6235
[区分]関東東海北陸農業・茶業、関東東海・土壌肥料
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
茶園では土壌pHを適正に保つために、通常年1回程度、石灰(苦土石灰)の施用が行われている。しかし、土壌診断を行わずに石灰を施用すると、pHの上昇により硝酸化成が過度に促進されることが考えられる。特にてん茶などアミノ酸を多く含むことが要求される高品質茶では、土壌中のアンモニア態窒素の減少は品質低下に繋がりかねない。また、硝酸化成の促進により下層への硝酸態窒素の溶脱が懸念される。そこで、てん茶園での石灰の施用が土壌中の無機態窒素の動態及び硝酸態窒素溶脱に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. この成果は、所内の樹齢10年のてん茶園(細粒黄色土、土性LiC)において、本県の施肥基準(表1)に基づいた条件下で得られたものである。
2. 苦土石灰200s/10a施用(慣行量は50〜150s)により、土壌pHは概ね5.0を上回る傾向が見られ(図1)、土壌中のアンモニア態窒素は石灰施用土壌中では減少、反対に硝酸態窒素は増加する傾向が見られる(図2)。石灰無施用土壌における9月後半のpH上昇は主に秋肥の影響と考えられるが、アンモニア態窒素は石灰施用土壌より明らかに多く、硝酸態窒素は増加していない。
3. 石灰施用土壌では、硝酸態窒素は、無施用土壌に比べ40%多く溶脱する(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 好アンモニア性作物であるチャにとって土壌中のアンモニア態窒素は重要であり、同時に環境へ配慮する上でも、土壌診断による適正なpH管理(4.0〜5.0)が必要である。
2. 本情報は、細粒黄色土における結果であるため、土壌条件、施肥管理等により、結果は異なる。

[具体的データ]
表1 施肥概要 図1 うね間土壌(5〜15p)のpHの推移
図2 うね間土壌のアンモニア態及び硝酸態窒素含有量の推移
図3 苦土石灰の施用が土壌からの硝酸態窒素の溶脱量に及ぼす影響
[その他]
研究課題名:脱窒資材を活用した茶園からの硝酸性窒素排出削減技術の開発
予算区分:実用技術
研究期間:2007〜2008年度
研究担当者:白井一則、滝本雅章、安藤悟志

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