キャベツ畑休閑期へのソルガム導入による土壌炭素貯留効果


[要約]
台地造成土、細粒質褐色森林土相における秋冬キャベツ栽培では有機物を投入しない場合、土壌炭素含量が減少するが、ソルガムを夏季に栽培してすき込むことにより、その減少を抑制できる。ソルガム導入初期における土壌炭素貯留効果は100 g C m-2 y-1程度と試算される。

[キーワード]ソルガム、土壌炭素、二酸化炭素、亜酸化窒素、土壌炭素貯留効果

[担当]愛知農総試・東三河農業研究所・野菜グループ
[代表連絡先]電話:0532-61-6235
[区分]共通基盤・土壌肥料、関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
農耕地、特に畑地は土壌有機物の分解が速く、二酸化炭素を放出する系であり、地球温暖化防止の観点から、土壌炭素貯留効果の増強が求められている。一方、緑肥作物は、エコファーマー技術として広く導入促進が図られており、その土壌炭素貯留効果が認められれば、地球温暖化抑制に大きな効果が期待できる。そこで、夏季に裸地となることの多い、愛知県の秋冬キャベツ産地においてソルガムを導入した場合の土壌炭素貯留効果を評価する。

[成果の内容・特徴]
1. 夏季休閑期を裸地状態で管理すると、作土の土壌炭素含量には−0.6 g kg-1 y-1程度の減少傾向が認められるが、ソルガムを栽培してすき込むことによって、その減少程度が抑えられる(図1)。
2. 夏季にソルガムを導入した場合、土壌表面からの二酸化炭素の放出量はソルガム栽培期間中から増加し、すき込み後に顕著となる(図2上)。
3. ソルガム連用3年目の1年間の炭素収支を試算すると、インプットは、ソルガムから 408 g C m-2 y-1、キャベツ残さから 244 g C m-2 y-1、合計 652 g C m-2 y-1 であるのに対して、二酸化炭素放出量は 604 g C m-2 y-1と匹敵し、炭素収支は +48g C m-2 y-1である。一方、ソルガムを栽培しない場合には、放出量がインプットを上回り、炭素収支は −62 g C m-2 y-1 である。ソルガムの土壌炭素貯留効果は、ソルガム区と夏季裸地区の炭素収支の差 110 g C m-2 y-1と試算される(表1)。
4. ソルガムの導入により、亜酸化窒素の放出量は増大する(図2下)。亜酸化窒素の放出量を100年間の地球温暖化係数により炭素換算すると、夏季裸地区:14 g C m-2 y-1に対してソルガム区:34 g C m-2 y-1である。しかしながら、この亜酸化窒素の放出量増加を加味しても、ソルガムの土壌炭素貯留効果はわずかに低下するのみで、90 g C m-2 y-1と試算される。

[成果の活用面・留意点]
1. 本成果は、ソルガム導入後3年間の結果である。長期連用における土壌炭素貯留効果はさらに検討する必要がある。
2. 図1で示した土壌炭素含量には孔径2 mmのふるい上に残る粗大有機物は含まれない。ソルガム区では土壌中に残る粗大有機物が多いため、土壌炭素含量の変化は若干遅れる傾向がある。

[具体的データ]
図1 秋冬キャベツ栽培ほ場における夏季裸地区とソルガム導入区における作土の土壌炭素含量の推移

図2 ソルガム導入畑における二酸化炭素と亜酸化窒素フラックスの推移

表1 炭素収支(2008年6月〜2009年5月)
[その他]
研究課題名:赤黄色土露地野菜地帯における畜産由来有機性資源の循環利用に伴う環境負荷物質の動態解明と環境負荷低減技術の開発
予算区分:指定試験
研究期間:2005〜2009年度
研究担当者:糟谷真宏

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