オオメカメムシによるイチゴのナミハダニ及びピーマンのアザミウマ類の防除効果


[要約]
施設栽培イチゴのナミハダニ及び施設栽培ピーマンのアザミウマ類に対し、これら害虫の発生初期からオオメカメムシ2〜3齢幼虫を2〜5頭/株の密度で1〜2週間おきに3回放飼することにより、無処理や慣行防除と比較して高い防除効果が得られる。

[キーワード]オオメカメムシ、ハダニ、アザミウマ、イチゴ、ピーマン、防除効果

[担当]千葉農林総研・生産環境部・病理昆虫研究室
[代表連絡先]電話:043-291-9991
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(虫害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
施設園芸では、導入種を主体とする天敵昆虫が生物的防除資材として利用されているが、それらは狭食性や単食性の種が多く、複数種の害虫が混発する条件下では、複数種の天敵を同時に用いる必要がある。日本在来種のオオメカメムシ(以下、オオメとする)は、アザミウマ類等の小型の昆虫やチョウ目の卵等を餌とする多食性捕食者であり、複数種害虫に対応しうる天敵として有望視されている。しかし、本種による害虫防除効果は明らかにされていない。そこで、オオメ幼虫の放飼によるイチゴのナミハダニ及びピーマンのアザミウマ類の防除効果を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. ナミハダニがほぼ単独で発生している施設栽培のイチゴで、発生初期(オオメ放飼区:約1頭/株、無処理区:約4頭/株)から、オオメの3齢幼虫を株当たり2頭の密度で8〜15日おきに計3回、緩衝材とともに各株上に放飼すると、オオメは株上に約3ヶ月間定着し、無処理と比較してナミハダニを低密度に保ち(図1)、葉の被害を抑制できる(図2)。
2. アザミウマ類(ヒラズハナアザミウマ及びミカンキイロアザミウマ)がほぼ単独で発生している施設栽培のピーマンで、両種アザミウマの発生初期(オオメ放飼区:約0.5頭/株、薬剤防除区:約1頭/株)から、オオメの2〜3齢幼虫を株当たり5頭の密度で7日おきに計3回、緩衝材とともに各株上へ放飼すると、オオメは株上に約2ヶ月間定着し、薬剤防除区と比較してアザミウマ類を低密度に保ち(図3)、薬剤防除区と同程度に果実被害を抑制できる(データ省略)。
3. オオメはイチゴ及びピーマンの株上において、葉、花、蕾及び幼果などのハダニ類やアザミウマ類が発生し被害が問題となる部位に多く定着する(データ省略)。
4. トリフルミゾール水和剤、バチルス・スブチリス水和剤、シフルフェナミド水和剤、炭酸水素カリウム水溶剤、炭酸水素ナトリウム水溶剤、フェナリモル水和剤等の殺菌剤が用いられる状況下でもオオメは約2ヶ月間株上に定着し、これら殺菌剤との併用が可能である(データ省略)。

[成果の活用面・留意点]
1. オオメの大量増殖法が確立されており、数年以内に、イチゴのアザミウマ類に対する生物的防除資材として登録される見込みである。
2. アザミウマ類、アブラムシ類及びハダニ類のうち、2種が混在する条件の室内実験では、オオメはいずれの場合も両種害虫を捕食する。今後、これらを含めた複数種の害虫が混在する条件下で本種を放飼した場合の防除効果について、事例を蓄積する必要がある。

[具体的データ]
図1 施設栽培イチゴにおけるナミハダニおよびオオメカメムシの密度推移

図2 施設栽培イチゴのナミハダニ被害状況
図3 施設栽培ピーマンにおけるアザミウマ類およびオオメカメムシの密度推移
[その他]
研究課題名:環境にやさしい在来天敵オオメカメムシ類を用いた園芸作物害虫防除に関する研究
予算区分:県単及び国委託(先端技術を活用した農林水産技術研究高度化事業)
研究期間:2003〜2006年度
研究担当者:大井田寛(千葉農林総研)、上遠野冨士夫(千葉農林総研)、後藤千枝(中央農研)、務川重之(中央農研)、小林伸三(千葉農大)
発表論文等: 1)大井田・上遠野(2007)関東病虫研報、54:133-138
2)大井田ら(2007)関東病虫研報、54:139-142

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