多獣種の侵入を防止する柵「獣塀(じゅうべい)くん」


[要約]
農作物を加害する野生動物の被害防止対策として、多獣種に対応した侵入防止柵「獣塀くん1〜3号」を開発した。従来型柵と同程度のコストで設置可能でき、非常に高い侵入防止効果を有する。

[キーワード]電気柵、多獣種対応、安価柵、容易な設置

[担当]山梨県総合農業技術センター、近中四農研・鳥獣害対策チーム
[代表連絡先]電話:0551-28-2953
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(鳥獣害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
獣害は、クマ、シカ、イノシシに代表される大型哺乳類のみならず、ハクビシン、タヌキ等の中型哺乳類によっても引き起こされる。現在の被害防止柵は主に大型哺乳類を対象として設計されている。そこで中型哺乳類を含めた多獣種にも対応した被害防止柵を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 開発した多獣種に対応した侵入防止柵「獣塀くん1〜3号」の構造は、通電部に金網(メタルラス)を用い、線的でなく面的に動物の侵入を防止する(図1)。また絶縁体として水田用の塩ビ製畦波板を金網の下に敷くことで地表と通電部の間隔をなくし、下をくぐっての侵入を防ぐ。高さ60cmの「獣塀くん1号」はサル・シカ以外の動物の侵入を防止する。高さ160cmの「2号」はサル以外の動物に、高さ180cmの「3号」は山梨県内に生息する多くの動物に対応している(表1)。なお、ネズミ・モグラ等の小型哺乳類は対象としない。
2. 自動撮影カメラを用いて行った侵入防止効果試験では、1,2,3号の柵外でそれぞれ計7種430個体、計8種362個体、計5種291個体の哺乳類が撮影されたが、柵内での撮影数は4個体のみである(表1)。柵内へのテン侵入は畦波板の経年劣化による変形が原因で、この変形部分に土を寄せて畦波板下の隙間を除去した後は侵入がない。
3. 100m設置する場合の資材費(電牧器含む)は1号が544円/m、2号が1030円/m、3号が1100円/mである。また100mを2人で設置する場合の設置労力は平坦な農地で、支柱を打ち込みやすい土壌硬度の場合、1号が5.0時間、2号が8.5時間、3号が13.5時間である(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 獣塀くん」作り方の手引(pdfファイル)が山梨県総合農業技術センターホームページ( http://www.pref.yamanashi.jp/sounou-gjt/documents/fence_1.pdf )上にあり、詳細な図や資材費等も記述されているので、作成時の参考となる。
2. この柵はほ場単位での利用に限る。集落単位での設置は十分な効果が期待できない
3. 電気刺激に驚いた動物が突進して柵が破壊されることがあるが、被害には結びついていない。こまめに見回りを行い、柵の補修・点検をする。
4. 設置労力は目安であり、地面の傾斜や凹凸・土壌硬度などによって異なる。
5. 耐用年数はボルドー液を使用する果樹園で3年、その他4年程度である。

[具体的データ]
図1. 侵入防止柵「獣塀くん」の構造

表1.2007〜2009年に自動撮影カメラにより柵内外で観察された哺乳類の個体数 a)
表2. 柵の設置100mにかかるコストと労力 図2. 獣塀くん2号
[その他]
研究課題名:多獣種対応型侵入防止柵の開発
予算区分:実用技術
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:本田剛、宮川芳樹、桑田大、上田弘則、井上雅央
発表論文等:Mammal Study (2009) 34: 13-17

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