マルチプレックスRT-PCR法を用いたキュウリに感染する7種ウイルスの迅速診断


[要約]
キュウリに感染する7種類のウイルスは2セットのプライマーカクテルを用いたマルチプレックスRT-PCR反応で粗汁液からも同時に検出・同定できる。

[キーワード]キュウリ、ウイルス、マルチプレックスRT-PCR、診断

[担当]埼玉農総研・病害虫防除技術担当
[代表連絡先]電話:0480-21-1114
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)
[分類]研究・普及

[背景・ねらい]
キュウリには多種のウイルスが感染し、そのベクターはアブラムシ類、アザミウマ類、コナジラミ類及び接触・土壌伝染と多岐にわたる。そのため、防除対策を講じるためには、病原ウイルスの早期診断が必須である。そこで、キュウリモザイクウイルス(CMV),ズッキーニ黄斑モザイクウイルス(ZYMV),パパイヤ輪点ウイルス(PRSV),カボチャモザイクウイルス(WMV),メロン黄化えそウイルス(MYSV),ビートシュードイエロースウイルス(BPYV)及びキュウリ緑斑モザイクウイルス(KGMMV)の7種類ウイルスを同時に検出・同定できる診断法を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. プライマーは、既報の論文を参考にするとともに、DDBJ等のデータベースを利用して、ウイルスの遺伝子配列情報を収集し、2セットのプライマーカクテルを作成する(表1)。
2. それぞれのプライマーの最終濃度は表1のとおりとする。テンプレートは、被検植物からのRNA抽出液、または、粗汁液を用いる。マルチプレックスRT-PCRはOne Step RNA PCR Kit(AMV)(TAKARA社)のプロトコールに従って実施する。逆転写反応は、50℃30分、94℃2分、PCR反応は、94℃30秒、54℃30秒、72℃1分を35回繰り返し、最終伸長は72℃10分間とする。
3. 本法を用いると、プライマーカクテルAでは、WMV、BPYV、ZYMV及びPRSVの単独感染植物から、それぞれ657bp、546bp、463bp及び330bpのDNA断片が増幅される(図1A)。プライマーカクテルBでは、CMV、MYSV及びKGMMVの単独感染植物から、それぞれ940bp、776bp及び463bpの断片が増幅される(図1B)。
4. これまで3種ウイルスの自然重複感染株から検出できることを確認している(データ省略)。
5. 両プライマーカクテルを使用すれば、1検体につき2反応で、7種ウイルスのいかなる組み合わせの重複感染にも対応できる(図1A、B)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本プライマーセットは、現場対応を見据えた一次診断を目的として作成している。
2. テンプレートに葉粗汁液を用いる場合は、100倍(w/v)程度に希釈する。
3. 2008年に新病害として報告されたウリ類退緑黄化ウイルスには対応しない。
4. KGMMVのプライマーはスイカ緑斑モザイクウイルス(CGMMV)にも対応していることから、本法はメロンにも対応できる。
5. 本法は、TAKARA社のOne Step RNA PCR Kit(AMV)を使用した場合の設定条件であるため、異なる試薬を使用する場合には試薬ごとに反応条件を最適化する必要がある。

[具体的データ]
図1 各プライマーの塩基配列
図1 2セットのプライマーカクテルを用いたマルチプレックスRT-PCRによる7種ウイルスの検出
[その他]
研究課題名:作物別のウイルス病診断システムの構築
予算区分:JSTシーズ発掘試験
研究期間:2007年度
研究担当者:宇賀博之

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