Fusarium oxysporumにおけるpolygalacturonase遺伝子の種内多型


[要約]
Fusarium oxysporumのpolygalacuturonaseの遺伝子配列間の系統を解析した。主要な2種類のendopolygalacturonase遺伝子及び主要な2種類のexopolygalacturonase遺伝子中、pgx1が最も多型部位が多かった。

[キーワード]Fusarium oxysporum、polygalacturonase、遺伝子、多型、系統

[担当]埼玉県農総研・病害虫防除技術担当
[代表連絡先]電話:0480-21-1114
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
Fusarium oxysporumの土壌病害対策はおもに抵抗性台木の利用、土壌の消毒である。総合的土壌病害制御技術を確立するために土壌中での種々の F. oxysporum の生息状況を知り、迅速に診断することが重要,不可欠となる。そこで F. oxysporum 間の遺伝子を解析してどの様に進化したのかを把握し、迅速診断技術開発の参考とする。

[成果の内容・特徴]
1. 19分化型38単離菌のFusarium oxysporumendopolygalacuturonase遺伝子 (pg1:1585-1587 bp,pg5:1375 bp)及びexopolygalacuturonase遺伝子 (pgx1:1793-1813 bp,pgx4:1873 bp)を解析して変異の個数を分析した(表1)。
2. 4遺伝子間での変異率はエキソンが0.23-0.93%で、イントロン(0.01-0.64%)と非翻訳領域 (0.07-0.25%)より高かった。推定されるアミノ酸配列の置換割合は0.05-0.31%であった。
3. pg1は84部位で,pgx4 は64部位で,pg5 は43部位で変異が認められ、それぞれ26パターン,17パターン,15パターンに分類された(表1)。
4. 一方、pgx1 は170部位で変異が認められ、19パターンに分類された(表1)。異なる2種のアミノ酸置換(アスパラギンからセリン,イソロイシン)を生じる変異もあった。
5. 4種類のpolygalacturonase遺伝子中、pgx1 が最も多型部位が多く、アミノ酸配列の置換ももたらした。
6. polygalacturonase遺伝子は同一の分化型でも異なる交配型の場合(f. sp. cucumerinum など)や異なる枝に分けられる場合(f. sp. fragariae など)があった(図1)。
7. polygalacturonase遺伝子は同一の分化型(f. sp. lycopersici)でレースが異なると違うクレードに分類された(図1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 今回の配列解析結果を基に分化型を識別するプライマーセットの作成が可能である。

[具体的データ]
表1 使用Fusarium oxysporum菌とpolygalacturonase遺伝子パターン,交配型
図1 pgx1系統解析(NJ法)及び交配型
[その他]
研究課題名:園芸作物病害の迅速診断技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2002〜2004年度
研究担当者:平野泰志
発表論文等: Yasushi Hirano and Tutomu Arie (2009) Variation and Phylogeny of Fusarium oxysporum Isolates Based on Nucleotide Sequences of Polygalacturonase Genes. Microbes Environ. 24(2):113-120


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