コムギ種子における識別性の高いムギ類黒節病菌検出法とその利用


[要約]
コムギ種子の胚側をムギ類黒節病菌選択培地に埋め込むことで、種子中の黒節病菌が旺盛に繁殖し、雑菌との区別がしやすくなるため、識別性が大幅に向上する。この方法によって、種子系統別の汚染種子率や種子消毒効果等を適正に評価できる。

[キーワード]コムギ、種子、黒節病菌選択培地、検出、種子消毒

[担当]三重農研・経営・植物工学研究課、循環機能開発研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-6354
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
ムギ類黒節病の発生には、汚染種子による一次伝染が深く関与するとされており、防除対策としては、汚染していない健全種子を種子生産に用いることが最も重要である。そのため、コムギ種子生産現場において、黒節病菌汚染種子率を正確に検出する方法を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. コムギ種子から黒節病菌を検出するため、ムギ類黒節病菌選択培地(森ら、1999)に種子の胚側を下向きにして半分程度を埋め込んで培養する。この操作によって、コムギ種子を単に培地面に置くだけの場合と比較して、黒節病菌に特徴的な黒色タール状のコロニーが形成され、汚染種子であることを明確に識別できる(図1)。
2. 次亜塩素酸ナトリウム溶液でコムギ種子を消毒すると、有効塩素濃度を高めるに従い黒節病菌汚染種子率が低下することが、本法により確認できる。この場合、有効塩素濃度を3.5%にまで高めると、汚染種子率を10分の1程度に低減する効果があると評価できる(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 柔らかい(低濃度寒天)培地を使用したり、種子全体を深く埋め込むと、黒節病菌が十分繁殖せず、識別しにくくなるため、寒天濃度1.5%、培地厚6 mm(直径9 cmシャーレで培地量35 ml)に種子の胚側を半分埋め込むことを基本とする。
2. 本法は、ムギ類黒節病菌の汚染種子率の調査や種子消毒法の評価に利用できる。
3. 産年、生産圃場、品種・系統ごとに異なる黒節病菌汚染種子率を正確に把握できるため、健全種子の系統を選抜した上で播種でき、圃場での被害抑制につなげることができる。

[具体的データ]
図1 コムギ種子の置き方の違いによるムギ類黒節病菌選択培地における菌発生の差異
図2 次亜塩素酸ナトリウム溶液による黒節病菌汚染種子の消毒効果
[その他]
研究課題名:小麦「あやひかり」の黒節病感染を回避する種子生産技術の開発
予算区分:国補(研究成果実用化推進事業)
研究期間:2009年度
研究担当者:橋爪不二夫、鈴木啓史、黒田克利

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