培養大麦粒を用いたダイズ黒根腐病菌の低温長期保存法


[要約]
ダイズ黒根腐病菌は、大麦粒で培養し-80℃で冷凍庫に保存することで、3年以上の安定した保存が可能である。また、培養大麦粒は接種源としてそのまま使用できる。

[キーワード]ダイズ黒根腐病菌、長期保存法

[担当]中央農研・病害虫検出同定法研究チーム
[代表連絡先]電話:029-838-8836
[区分]共通基盤・病害虫(病害)、関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
ダイズ黒根腐病はダイズ栽培上重大な被害を生じる立枯性病害であるが、発生生態はいまだに不明な点が多い。本病研究上の問題点の一つに菌株の安定的な維持・保存法が確立されていないことが挙げられる。そこで長期間の安定した菌株の維持を目的として、培養大麦粒を用いた簡易な長期保存法の開発を行った。

[成果の内容・特徴]
1. PDA などで前培養した黒根腐病菌をオートクレーブ滅菌した大麦(六条皮麦)粒に接種し、1ヶ月間培養する。培養後、培養大麦粒を乾燥させ-80℃でマイクロチューブやプラスチッグバッグなどに入れて保存することで、黒根腐病菌を簡便、省力的に、かつ安定して保存可能である(図1)。
2. -80℃で培養大麦粒を保存することにより、黒根腐病菌は3年以上安定して保存可能である。また、-20℃で保存した場合、保存2年目以降生存率が低下することがある(表1)。
3. 本法で3年間保存した培養大麦粒より分離した菌株の病原力は、保存開始前の病原力と比較して同等である(図2)。
4. 3年間保存した培養大麦粒をそのまま接種源として用いた結果は、定法であるバーミキュライトふすま培養物を接種源として用いた場合に比べてダイズに同程度の発病が認められたことから、接種源としても有効である(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 従来の試験管保存と比べて、継代する必要がないため、省力でかつ雑菌の混入の可能性が低く、保存に広いスペースを要しない。

[具体的データ]
図1 大麦保存法の手順 表1 培養大麦粒中の大豆黒根腐病菌の生存率(15粒)

図2 大麦保存菌株(3年間)と保存前菌株の病原力の比較 図3 培養大麦粒を接種源として用いた結果と定法による結果の比較
[その他]
研究課題名:病害虫の侵入・定着・まん延を阻止するための高精度検出・同定法の開発
中課題整理番号: 521b
予算区分:基盤
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:越智直、仲川晃生
発表論文等:Ochi.S and Nakagawa.A Journal of General Plant Pathology. in press.

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