集落ぐるみのサル被害対策による農家の意識向上効果


[要約]
集落での被害対策が進展し被害が軽減することは、集落農家の被害対策への意識や営農意欲といった農家意識を向上する効果がある。

[キーワード]獣害、サル、集落ぐるみ、農家意識、営農意欲

[担当]三重農研・経営植物工学研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-6356
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(鳥獣害)
[分類]行政・参考

[背景・ねらい]
農村における獣害対策の本来の目的は、被害軽減そのものではなく、被害を軽減することで集落農家の営農意欲向上を図ることにある。集落が一体となった獣害対策が進み被害が軽減されれば、集落の被害対策への意識や農業への意欲は向上すると考えられる。
 この効果を検証するため、集落ぐるみで獣害対策に取り組む集落を対象に、取り組み前後の被害対策への意識や営農への意欲の変化を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 集落ぐるみでサルの追い払いを行った三重県内の6集落(A〜F)を対象に、対策の 前後年である平成19年と20年で、被害状況、追い払い状況、農家の意識について集落 悉皆調査を行い、その変化を分析する(表1)。
2. 追い払い指標(対目撃追い払い率、予防的追い払い率、農家参加率の平均)から見た 集落ぐるみの追い払いは、集落A〜Dで取り組み前年より大きく向上し(29〜116%)、 被害指数も減少している(−35〜−79%)(表1図1)。一方、集落E・Fでの追い払 い指標はほぼ横ばいまたは低下し(6〜−16%)、被害指数もほぼ横ばいまたは増加して いる(3〜17%)。
3. 獣害対策への意識については、集落A〜Dで肯定感が前年より向上し(25〜35%)、否定感は低下(−31〜−100%)している。一方、集落E・Fでは肯定感が低下(−13〜−29%)し、否定感が贈加している(17〜33%)(図2)。
4. 営農意欲については、獣害対策の意識同様、集落A〜Dでは肯定感が向上して否定感 が低下する一方(それぞれ9〜15%、−19〜−35%)、集落E・Fでは逆に肯定感が 低下して否定感が増加している(それぞれ−1〜−3%、4〜7%)(図3)。
5. 集落が一体となった被害対策が進み被害軽減ができた集落では、獣害対策や営農への意欲が向上することが明らかとなった。

[成果の活用面・留意点]
1. この結果は、集落が一体となった獣害対策が地域農業の維持に寄与し得ることを示す結果として、集落での農作物被害防除対策に活用できる。
2. 集落が一体となった被害対策が進まず、被害軽減ができない場合、被害対策や営農への意欲が低下する可能性もあるため、被害対策の推進に当たっては十分な集落の合意形成が重要と思われる。

[具体的データ]
表1 被害対策、被害状況、意識等に関する調査結果
図1 被害状況と追い払いの変化 図2 獣害対策への肯定感と否定感の変化 図3 営農への肯定感と否定感の変化
[その他]
研究課題名:集落機能を活用した農作物獣害対策技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:山端直人、糀谷 斉

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