ダイズ「エンレイ」を多収型生育に導くための栽培管理技術の導入効果


[要約]
畝立て播種ではダイズの初期生育が安定する。また、収量水準の低い圃場では培土時の追肥により、莢数や粒数が多くなり、増収が期待される。さらに、地下水位が低く、乾燥しやすい圃場では、暗渠栓を閉めることにより、干ばつ程度が軽くなる。

[キーワード]ダイズ、エンレイ、多収、畝立て播種、追肥、地下水位

[担当]新潟農総研・作物研・水田高度利用チーム
[代表連絡先]電話:0258-35-0836
[区分]関東東海北陸農業・北陸・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
近年、ダイズの収量低下が指摘されており、生育診断による栽培管理技術の導入が求められている。重粘土地帯においてダイズを多収型の生育に誘導するため、各種栽培管理技術が生育および収量構成要素等に与える影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 畝立て播種の導入により、ダイズの初期生育が安定し、多収型の指標主茎長が早期に確保される(図1)。
2. 収量水準が低い圃場や初期生育が悪く収量低下が予想される圃場では、培土時の追肥により、莢数や粒数が多くなり、増収が期待される。なお、追肥による増収効果は、収量水準が低いと大きくなるが、慣行栽培の坪刈り収量が約340kg/10a以上になると効果が得られない場合がある(表1図2)。
3. 地下水位が−50〜−60cmより低く乾燥しやすい圃場では、開花期〜子実肥大期の高温乾燥時に暗渠栓を閉じることにより、干ばつ程度が軽くなり、莢数、粒数、百粒重の増加により収量が高まる。地下水位が高く過湿な圃場では、平均地下水位が−30cm程度で明らかな減収が認められ、排水対策が必要となる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 多収型の生育および収量構成要素の指標値は平成22年度成果「重粘土地帯におけるダイズ「エンレイ」の多収事例に基づく収量構成要素と生育指標」を参照する。
2. 畝立て播種は初期生育が良好になるが、過繁茂を避けるため、適正な播種期と栽植密度で播種を行う。
3. 追肥は60日タイプのシグモイド型被覆尿素肥料を窒素成分で10aあたり6kgを培土時に土壌と混和する。
4. 圃場の暗渠栓を閉めた場合は、降雨により地下水位が急激に上昇する場合があるので注意する。また、市販のラセン式穴掘り器を用いて、地下水位を確認する縦穴を掘ることができる。

[具体的データ]
図1 畝形状による主茎長の伸長効果(08〜09年・7地点平均値) 図2 追肥による増収量(07〜09年)
表1 追肥が収量構成要素等に与える影響
表2 地下水位が収量構成要素等に与える影響
[その他]
研究課題名:根圏環境の改善と生育診断による北陸産大豆の多収栽培技術の開発
予算区分: 実用技術
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:服部誠、藤田与一、佐藤昭彦、廣川雄一、樋口泰浩、南雲芳文、土田徹、 佐藤徹、阿部栄登

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