ダイズ新奨励品種「里のほほえみ」の福井県における品種特性


[要約]
ダイズ品種「里のほほえみ」は大粒で収量性が安定しており、蛋白含有率は「エンレイ」並で豆腐加工性も良好である。平成22年度以降、奨励品種として福井県内の「エンレイ」の一部に替えて普及する。

[キーワード]ダイズ、奨励品種、「里のほほえみ」

[担当]福井農試・栽培部・作物研究グループ
[代表連絡先]電話:0776-54-5100
[区分]関東東海北陸農業・北陸・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
福井県では近年「エンレイ」の収量が低迷し、百粒重も小さい。「エンレイ」の補完品種としてきた「あやこがね」は豆腐用に使いづらいとして作付けが抑制されている。そこで、百粒重が大きく、豆腐加工に適する良質多収品種を選定する。

[成果の内容・特徴]
1. 「エンレイ」より開花期は1日遅く、成熟期は4〜7日ほど遅いやや晩生に属する(表1)。裂莢しにくく、刈取時期としてはほぼ10日遅い。
2. 生育旺盛で、主茎長は「エンレイ」より5〜10cmほど長く、最下着莢位置も高いが、耐倒伏性は「エンレイ」並以上である(表1)。
3. 大粒で、福井県内においては「エンレイ」が低収の場合でも減収程度が小さい(表1図1)、莢数、粒数はやや少ない。
4. 粒の外観品質は「あやこがね」並みに良いが、稀に裂皮粒が発生する。同一ロット内では裂皮粒の粒大が健全粒に比べてやや大きいが、ロットの平均百粒重が大きいために裂皮粒率が高いわけではない(図2)。
5. 子実の蛋白含有率は「エンレイ」並に高く、豆腐の収率、硬さも十分である(表2)。食味官能では「エンレイ」に比べ、豆乳の段階から鮮やかな白さとさっぱりした甘みがある。

[成果の活用面・留意点]
1. 当面「エンレイ」の一部に替えて導入することで、作期分散が図れる。
2. 大粒なので、横溝ロール播種機では播種粒数がこれまでの「エンレイ」より大幅に減らないように播種量調整を慎重に行う。また、これまで裂皮粒が多発した2例の共通点は、6月上旬播種ながら一株当たりの粒数が格段に多かった場合なので、栽植密度は14本/m2を確保する。
3. 生育旺盛なことから、ウコンノメイガの加害が集中しやすいので、適切に防除する。また、茎が太すぎてコンバインが詰まりやすい際は、刈り取り速度を落とす。
4. 県内豆腐業者3社間ではニガリが異なり、凝固速度の評価は分かれた。

[具体的データ]
表1  生育収量品質の概況
図1 子実重のエンレイとの対比 図2 粒大と裂皮粒率の関係(07,08年)
表2 加工関連評価(2008年)
[その他]
研究課題名:大豆奨励品種決定調査
予算区分:県単
研究期間:2005〜2009年度
研究担当者:笈田豊彦、井上健一、田中豊実、佐藤勉

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