米糠トコトリエノール含量に関与するQTLの検出


[要約]
米糠の高機能性ビタミンEのトコトリエノール含量には品種間差異がある。「コシヒカリ」と「密陽23号」のF2集団を用いた分析では、トコトリエノール含量に関与するQTLは第1、第6、第9染色体上に計5箇所存在する。

[キーワード]米糠、ビタミンE、トコトリエノール、品種間差異、QTL

[担当]富山農総セ・農研・農業バイオセンター
[代表連絡先]電話:076-429-2111
[区分]関東東海北陸農業・北陸・水田作畑作
[分類]関東東海北陸農業・北陸・水田作畑作

[背景・ねらい]
米糠ビタミンEにはトコトリエノール(T3)とトコフェロール(Toc)の2種類がある。T3はTocよりも30〜40倍の高い抗酸化活性を持ち、またコレステロール低下作用や抗癌作用等、多様な機能性を有することが知られている。
 そこで、米糠T3に注目し、含量について品種間差異を調査し、高含量品種を探索する。その機能性を活かしたT3高生産性品種を効率的に開発するために、T3含量に関与する遺伝子領域(QTL)を検出し、その効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 調査に用いた251品種の中では、米糠1gあたりのT3含量に最大で約5倍の品種間差異がある(図1)。
2. 「コシヒカリ」と「密陽23号」との雑種F2における米糠T3含量は連続的に正規分布することから、米糠T3含量は量的形質である(図2)。また、両親品種の米糠T3含量を超越分離するF2個体が現れる(図2)。
3. 「コシヒカリ」と「密陽23号」のF2集団を用いたQTL解析において、T3含量に関与するQTL( qT3 )は第1染色体に1箇所、第6染色体に2箇所、第9染色体に2箇所の計5箇所存在する(図3)。
4. 第9染色体上に存在する qT3 9-1 を除く、4つの qT3 は、「コシヒカリ」型に対して「密陽23号」型でT3含量を増加させる作用を持つ(表1)。 qT3 9-1 は「密陽23号」型に対して「コシヒカリ」型でT3含量を増加させる作用を持つ(表1)。
5. qT3 6-1 および qT3 6-2 はLOD値が高いことから、作用力の大きなQTLであることが示唆される(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本研究の成果は、作用力の大きなQTLを集積することにより、米糠T3を多く含む品種の開発に利用できる。
2. 品種間差異の調査には、生物研ジーンバンクの国内外イネ・コアコレクションシリーズに、本県農業研究所保有の品種を加えた計251品種を用いている。
3. 品種間差異は、同一圃場で同一年次に栽培し、各品種の成熟期に収穫したコメのとう精歩合90%で調製した米糠を分析して比較している。

[具体的データ]
図1 米糠1gあたりのビタミンE含量の品種間差異 図2 「コシヒカリ」/「密陽23号」のF2固体のトコトリエノール含量(2006年度調査)
図3 米糠トコトリエノール含量に関与するQTLの位置

表1 米糠トコトリエノール含量に関与するQTL
[その他]
研究課題名:トコトリエノール高生産イネの探索と育成
予算区分:委託プロ(異分野融合研究)
研究期間:2005〜2009年度
研究担当者: 村田和優、小島洋一朗、蛯谷武志、前田寛明、川口祐男、山口琢也、表野元保、高橋渉、Sookwong Phumon(東北大)、木村俊之(東北農研セ)、柴田央(東北大)、山口誠之(東北農研セ)、仲川清隆(東北大)、宮澤陽夫(東北大)
発表論文: 1)Phumon S. et al. (2007) J. Agr. and Food Chem. 55: 461-466
2)Phumon S. et al. (2009) J. Agr. and Food Chem. 57: 4620-4625

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