ダイズ種子の乾熱処理によるウイルス病(CMV、PSV)の種子伝染率低減


[要約]
ダイズのウイルス(CMV及びPSV)保毒種子に対し、予備乾燥で子実水分を5%程度に調整後、70℃で12時間の乾熱処理をすると、ウイルスの種子伝染率を低減できる。

[キーワード]ダイズ、ウイルス、CMV、PSV、乾熱処理、種子伝染率

[担当]新潟農総研・作物研究センター・育種科、栽培科
[代表連絡先]電話:0258-35-0836
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
ダイズ褐斑粒の発生要因となるウイルス病は種子伝染性である。その感染時期が早いほど種子伝染や褐斑粒の発生に繋がりやすいため、伝染源となる保毒種子をほ場に持ち込まないことが重要である。これまでウイルスの種子伝染率を低減する方法として、乾熱処理の報告があるが、発芽率が著しく低下する問題点があった。そこで、本県の奨励品種「エンレイ」を対象に、乾熱処理による実用的なウイルスの種子伝染率低減技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 本技術の実施手順は図1の通りである。
2. 予備乾燥により子実水分を5%程度に調整することで、正常に発芽した個体の割合(発芽個体率)を高めることができる(図2)。
3. 70℃で12時間以上の乾熱処理をすると、発芽率の低下を抑制しつつCMV及びPSV保毒種子の種子伝染率を低減することができる。発芽率は乾熱処理時間が長くなるほど低下する(図3)。
4. 70℃で12時間の乾熱処理をした種子を播種すると、褐斑粒の発生は減少する。出芽はわずかに遅延するが、その後の生育に影響は認められない(表1

[成果の活用面・留意点]
1. 本技術は、原種・原々種等の種子生産を対象とする。
2. 処理後の子実水分は極端に低く、そのままでは発芽障害が生じるので、播種前に13〜14%程度に子実水分を調整する。水分の調整方法は有原ら(2001)を参考にする。
3. 古い種子や発芽率の低い種子は、乾熱処理により著しく発芽率が低下するので使用しない。
4. 乾熱処理後は貯蔵性が劣るので、播種直前に行う。

[具体的データ]
図1 乾熱処理の実施手順
図2 乾熱処理前の子実水分が発芽個体率に与える影響 図3 乾熱処理条件が発芽率及びCMV・PSVの種子伝染率に与える影響
表1 ほ場試験における生育概況及び褐斑粒率
[その他]
研究課題名:ダイズ種子伝染性病害の無毒化技術を中心とした健全種子生産技術の開発
予算区分:生物機能
研究期間:2004〜2008年度
研究担当者:名畑越夫、黒田智久

目次へ戻る