発光ダイオードを利用した簡易トラップのハイイロホソバノメイガ発生消長の把握


[要約]
スイゼンジナの立枯症状を引き起こすハイイロホソバノメイガの発生消長は、発光ダイオードを利用した簡易トラップによって把握できる。

[キーワード]スイゼンジナ、立枯症状、ハイイロホソバノメイガ、青色LED、発生消長

[担当]石川農総研・資源加工研究部・生物資源グループ、病害虫防除室
[代表連絡先]電話:076-257-6911
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
ハイイロホソバノメイガは体長20mm前後の灰褐色を呈した蛾で、幼虫がスイゼンジナの地際茎部を食害し、立枯症状の要因の一つとなっている。そこで、スイゼンジナ圃場における本種の発生消長を、多くの昆虫類に対して走光性を有する青色光の発光ダイオード(LED)を誘引光源に用いた簡易トラップにより把握し、防除や予察への利用につなげる。

[成果の内容・特徴]
1. 簡易トラップは、家庭用ソーラーガーデンライトを改造し、光源に青色LEDを用い、住友式粘着板を光源の下に2枚背中あわせ横置きにしてダブルクリップで固定する(図1)。
2. ハイイロホソバノメイガは、6月から9月にかけて捕獲され、発生消長の把握が可能である。年2回の発生であると推定される(図2)。
3. ハイイロホソバノメイガの捕獲数が多い年は被害株率が高く、捕獲数が少ない年は被害株率が低い傾向が見られることから、簡易トラップへの捕獲数から被害量を推定できる可能性がある(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 1基5,000円程度である。
2. 電源供給設備のない場所でも設置できる。
3. 曇雨天が続いた場合、光源の点灯の有無に留意する。
4. 粘着板に捕獲された虫が多くなると捕獲効率が低下するので留意する。
5. 簡易トラップにはコナガ、カブラヤガなども捕獲され、他の害虫に対しても利用できる可能性がある。

[具体的データ]
図1 試作した簡易トラップの概要
図2 簡易トラップによるハイイロホソバノメイガの捕獲消長(半旬別日当たり頭数)

図3 トラップ設置圃場における被害株率
[その他]
研究課題名:病害虫発生予察事業
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:藪哲男、河原正明、濱崎貴史

目次へ戻る