大規模水田作経営における畦畔管理作業の大型機械化の実態と課題


[要約]
畦畔管理作業は、水田作の主要な作業や水稲の生育ステージと関連して、適切な時期に目的を持って行われる。2年3作体系の大規模水田作経営では、畦畔管理作業が適正に行われないと計画的な生産管理や規模拡大等の支障となる恐れがあるため、大型機械の導入による作業の省力化が進んでいる。

[キーワード]大規模水田作経営、畦畔管理、草刈り作業

[担当]愛知農総試・企画普及部・経営情報グループ
[代表連絡先]電話:0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・経営
[分類]技術及び行政・参考

[背景・ねらい]
大規模水田作経営において、畦畔の草刈り作業は規模拡大のネックとされているが、その実態は不明である。そこで大規模水田作経営の畦畔管理の実態を調査し、採用されている工程別の作業時間と経費を分析し、作業負担の大きさや経営への影響、経営対応の実態を解明する。

[成果の内容・特徴]
1. 実態調査の対象は愛知県西三河地域・平地地域の農業法人A経営である。作付面積は水稲約50ha、麦・大豆約45haであり、このうちの借地30haが畦畔管理作業の対象である。労働力は経営主と弟、家族4人、パート1人である。この地域は平成16年にほ場整備が完了し、1haを超える大区画ほ場もあるが、10〜20aの水田もある。A経営の借地面積のうち約40%は小さな区画の水田である。
2. A経営では4〜10月の間に4回程度の畦畔の草刈り作業を行う(表1)。これはこの地域の標準的な回数である。作業の時期は本田の作業や水稲の生育ステージと関係があり、時期を逸すると本田の作業の遅れ、不慮の事故と対応、収量低下などが発生し、計画的な生産管理の支障となる。
3. このリスクの回避のために、A経営では、トラクタで草刈機を牽引して作業を行う大型機械工程を導入して効率化を図っている(表2)。トラクタが進入できない場所や草刈機が届かない範囲は、刈払機と自走式草刈機による人力主体の小型機械工程で行う(図1)。各工程の作業対象となる畦畔の面積は、ほぼ同等である(表3)。
4. 水田(耕地)10aあたりの草刈り作業時間は1.8時間、費用は10,742円である(表3)。A経営では小型機械工程の作業を一部外部化し、余剰労力を規模拡大や新たな作業受託に投下して所得確保を図っている。コスト低減と省力化に向けての大型機械の稼働率向上や小型機械工程の作業者の確保が、残された課題として指摘できる。

[成果の活用面・留意点]
1.

[具体的データ]

(鬼頭 功)

[その他]
研究課題名:地域マネジメント手法の研究
予算区分:県単
研究期間:2007〜2010年度
研究担当者:v
発表論文等:鬼頭ら、大規模水田作受託経営における畦畔管理作業の実態(2010)2010年度日本農業経済学会論文集:62-68

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