生米ぬか給与による筋肉内脂肪の脂肪酸組成変化

黒毛和種去勢牛に生米ぬかを濃厚飼料中８％添加したTMR飼料を出荷前12カ月間給与すると、飼料摂取量、発育および枝肉成績に差は見られないが、筋肉内脂肪のオレイン酸割合は高まり、脂肪酸組成の改善に有効である。

牛肉ではオレイン酸等のモノ不飽和脂肪酸割合が高く、飽和脂肪酸および多価不飽和脂肪酸割合が低いほど風味がよいことが報告されている。そこで、生米ぬかを黒毛和種去勢牛に給与し、オレイン酸（C:18:1）割合の高い牛肉生産を目指す。 　今回は、生米ぬかの添加量の違いが脂肪酸組成に及ぼす効果を明らかにし、生米ぬかを利用した美味しい牛肉生産技術を開発する。

１．	黒毛和種去勢牛26頭を供試し、濃厚飼料中に生米ぬかを４または８％添加する区と、生米ぬかの替わりに脱脂米ぬかを同量添加する区を設定し、16〜28カ月齢の肥育試験を行う（表１）。
２．	濃厚飼料中に生米ぬかを４または８％添加しても飼料摂取量、発育（表２）および枝肉成績に差はない。
３．	生米ぬかを濃厚飼料中に８％添加したＴＭＲ飼料を出荷前12カ月間給与することにより、第６〜７胸椎間の胸最長筋筋肉内脂肪のオレイン酸割合が高まるが、４％添加では脂肪酸組成に差はない（表３）。

１．	生米ぬかはオレイン酸割合を高める飼料として活用できる。また、生米ぬかは安価であることから低コスト生産も可能となる。
２．	生米ぬかはリンが多く含まれ、カルシウムが少ないため、飼料中のカルシウムとリンの比率に留意する必要がある。
３．	生米ぬかは粗脂肪含量が20％程度と高いため、温度の高い季節には脂肪の劣化に注意する。
４．	脂肪含量が高すぎると下痢を発症することがあるため、飼料乾物中の脂肪含量が６％を超えないように飼料設計する。

研究課題名：飼料構成の違いが黒毛和種去勢牛の脂肪質・食味性に及ぼす影響
予算区分：県単
研究期間：2007〜2009年度
研究担当者：浅田勉、角田成幸、岩間永子（茨城畜セ）、齊藤隆夫（茨城畜セ）、阿久津友紀子（栃木畜試）、川田智弘（栃木畜試）、有路優子（千葉畜セ）、小林正和（千葉畜セ）