挽き割り処理した飼料用玄米は泌乳前期の乳牛用飼料中に25%混合できる


[要約]
分娩から分娩後10週間目までの乳牛に対して、稲WCSを粗飼料の主体とし、トウモロコシと大麦を挽き割り処理した飼料用玄米に代替し、25%混合して調製した発酵TMRを給与しても、乳生産、ルーメン内容液性状および血液性状に影響を及ぼさない。

[キーワード]飼料用玄米、挽き割り処理、稲WCS、泌乳前期、乳生産

[担当]新潟農総研・畜産研・酪農肉牛科
[代表連絡先]電話:0256-46-3103
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
飼料自給率向上が目標に掲げられる現状で、水田から生産される飼料用稲や飼料用米の利活用が注目されている。
そこで、周産期乳牛に対して稲ホールクロップサイレージ(WCS)を粗飼料の主体とし、トウモロコシや大麦の輸入穀類の代替として飼料用玄米を用いた発酵混合飼料(TMR)の有用性を実証する。

[成果の内容・特徴]
1. 乾物比でチモシー乾草を25%と圧ぺんトウモロコシと圧ぺん大麦を合計25%混合したTMR(輸入飼料TMR)を対照とし、チモシー乾草を稲WCSに、トウモロコシと大麦を挽き割り処理した飼料用玄米に代替したTMR(自給飼料TMR)を初産の乳牛6頭を3頭ずつ2群に配置した一元配置法により、分娩予定の10日前から分娩後10週間目まで飼養試験を実施している。また、その後に、飼料を反転し、3週間の飼養試験を実施している。TMRの飼料構成は表1に示す。
2. 自給飼料TMR給与と輸入飼料TMR給与の各週次の乳量に差はなく(図1)、分娩後10週間の乳成分率にも差はない(表2)。
3. 自給飼料TMR給与によるルーメン液性状への影響は認められず、血液性状は、総コレステロールで低い値を示すが、その他の項目に差はない(表2)。
4. 分娩後11週目から自給飼料TMRを輸入飼料TMRに、同様に輸入飼料TMRを自給飼料TMRに切り替えたが、乳量、乳成分率に大きな影響は認められない(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 稲WCSと飼料用米を多用し、飼料自給率を高めた発酵TMRの給与指標となる。
2. 稲WCSは「北陸飼209号」、飼料用玄米は「北陸193号」を供試し、飼料用玄米は、畜産草地研究所において開発された飼料米破砕機の原型機を用いて、破砕ローラーの隙間を1mm程度に設定し挽き割り処理したものである。
3. 供試したTMRは細断型ロールベーラを用いて、発酵TMRに調製したものである。

[具体的データ]

(新潟県農業総合研究所)

[その他]
研究課題名:稲・麦WCS、飼料用米および生米ぬかを高度利用した牛乳の生産技術開発
予算区分:委託プロ(国産飼料プロ3系)
研究期間:2010〜2014年度
研究担当者:関 誠、小橋有里、島津是之、高橋英太

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