乳牛への飼料用玄米多給技術の開発


[要約]
平均日乳量35kg程度の泌乳中後期牛において、濃厚飼料中に飼料用玄米を20.9%あるいは44.5%混合したTMR飼料を給与しても、乳生産に影響はみられないことから、飼料用玄米はトウモロコシの代替として活用できる。

[キーワード]飼料用玄米、乳牛、泌乳中後期

[担当]群馬畜試・大家畜係
[代表連絡先]電話:027-288-2222
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
飼料用米は新たな国産飼料原料として注目されており、飼料用米を活用した高泌乳牛への給与指標が求められている。そこで本研究では、トウモロコシを飼料用玄米で全量代替する給与技術の確立を目指したものである。今回は、高泌乳牛において飼料用玄米多給による乳生産への影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 粉砕機により3〜5mmに粗挽き処理した飼料用玄米を濃厚飼料中に0%(0%区)、20.9%(20%区)あるいは44.5%(40%区)混合したTMR飼料を調製する(表1)。20%区では濃厚飼料中のトウモロコシを約半分、40%区ではすべてを飼料用玄米で代替することができる。
2. 試験は、日乳量35kg程度の泌乳中後期牛6頭(2〜6産)を用い、1期4週間の3×3ラテン方格法で実施する。供試飼料のTDNは72.4〜75.3、CPは13.2〜13.5%であり、給餌は朝夕2回行う。
3. 平均乾物摂取量(DMI)は、28.8〜30.6 kg/日となり、TDNおよびCP充足率はいずれも100%以上となる(表2)。
4. 3期終了時に、各区2頭について給餌後の第一胃内容液を経口採取し、pHを測定すると、飼料給与後5時間では、6.38〜6.78の範囲で推移する(図1)。
5. 乳量および乳成分は、20%あるいは40%混合しても、乳生産には影響しない(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 泌乳中後期の乳牛に対し、トウモロコシの代替として飼料用玄米を濃厚飼料中に20.9%あるいは44.5%(TMR飼料中11.8%あるいは25.1%)混合できる。
2. 泌乳初期牛は栄養代謝が活発であり、第一胃内消化速度が速いことから、飼料用米多給によりルーメンアシドーシス等の疾病が発生しやすい可能性がある。

[具体的データ]
表1 飼料混合割合および成分分析値  表2 DMIおよび養分充足率
表3 乳量および乳成分
図1 第一胃内容液pHの経時的変化

(群馬畜試)

[その他]
研究課題名:乳牛への飼料用米多給技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2009年度
研究担当者:平林晴飛、都丸友久
発表論文等:群馬県畜産試験場研究報告第17号(2010):1-8

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